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こころ 夏目漱石

「こころ」夏目漱石 先生と私 つづき

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 奥さんは東京の人であった。それはかって先生からも奥さん自身からも聞いて知っていた。奥さんは「本当いうと合の子(あいのこ)なんですよ」と言った。奥さんの父親はたしか鳥取かどこかの出であるのに、お母さんの方はまだ江戸といった時分の市が谷で生まれた女なので、奥さんは冗談半分そう言ったのである。ところが先生はまったく方角違い新潟県人であった。だから奥さんがもし先生の書生時代を知っているとすれば、郷里の関係からではないことは明らかであった。しかし薄赤い顔をした奥さんはそれより以上の話をしたくないようだったので、私のほうでも深く聞かずにおいた。
 先生と知り合いになってから先生の亡くなるまでに、私はずいぶんいろいろの問題で先生の思想や情操に触れてみたが、結婚当時の状況については、ほとんどなにものも聞きえなかった。私は時によると、それを善意に解釈してもみた。年配の先生のことだから、艶かしい回想などを若いものに聞かせるのはわざと慎んでいるのだろうと思った。時によると、またそれを悪とも取った。先生にかぎらず、奥さんにかぎらず、二人とも私に比べると、一時代まえの因襲のうちに成人したために、そういう艶っぽい問題になると、正直に自分を解放するだけの勇気がないのだろうと考えた。もっともどちらも推測にすぎなかった。そうしてどちらの推測の裏にも、二人の結婚の奥に横たわる花やかなロマンスの存在を仮定していた。


「本当いうと合いの子なんですよ」
ここが 自分は今のところ 気になった所です
でも この人は ああでもないこうでもないと いろいろ想像してみる人ですね
 こういった想像はじつは われわれもよくしているのではないですか?
鳥取の出だとするとあそこは 海辺だから外国船もよっていたかもしれないから
合いの子(今はこう言ってはいけないんでしたかね?)がいても不思議じゃないよね
だとか 私だって想像してみましたよ
この本を読んでいますと 天下の夏目漱石先生の作だから 心して読まなくちゃ
そう思ったりするんですよ
かたや なんとなくふつうの事が書いてあるようで わかりやすいですし
面白いものですよね
《 2019.01.11 Fri  _  読書の時間 》