1999年50歳
一人旅
どこへ行ったのかって?
東京
目的は大学時代からの親友のK子に会うため
さて 行かなきゃ
足元を見れば ネコの毛がついている(きょうだい)ムラカミとハルキという名前
松川を8時45分の電車
9時5分松本から新宿行きの あづさ58号
しおじり おかや しもすわ かみすわ こうふ やまなし 八王子 立川 新宿
行きの電車の中で 考えが とおりすぎる 景色が通り過ぎるように
ー自分のもっている服を写真に撮る アクセサリーも服につけて 撮るー
電車の中は こういった考えが浮かんで来る
服とかアクセサリーは フリーマーケットで買ったのが いっぱいある
その服を 改造したのが 「私の改造服」ブランド名に こっそりしている
アクセサリー これも 相当な数 自分で集めたボタンや イヤリングで
新たに作るから もうドロボーはその数に おったまげるだろう そして
その値うちの低さにも
車内では売り子さんがジュースやスナック類を売りに来る
売り子さんのオーデコロンのにおいがかすかに こーひー300円
ジュース150円 私は見てるだけ
また 考えがやって来る
ー小さい女に似合う服ー
これだけチビや チビタンク(太ったチビ)のいっぱいいる日本なのに
そんな女に似合う服が少ない 大きすぎる女に似合う服も少ない
だれにあわせて Mサイズちゅうねん そんな文句がやって来る
近くで 声がする
「カットフルーツとイカとツナのサラダだけ 食べれたわ」
「こってりでさあ」
パリに行ったという若い女の子の声
さて新宿でおりて西口ターミナル1
この場所を探し出さなくては むずかしいなあ
出口の南口がある 西にはどう行くんだろう
南の反対が北で 東の反対が西
それは 広い小学校の運動場での話
高速バス乗り場っていうのもある
やっと(1)を見つける
K子は都庁の近くのアンゼルセンという所の向かい側にいるらしい
なんてところだったかなあ そこで食事をする
彼女とは なんとか出会えた
午後の1時半から7時までねばる
1200円ちょっとで これだけねばられたら
お店もたまらんよな
後半には彼女はビール 私はポテト
話したことは 学生時代のこと 自分たちの結婚の事
ちょっとあぶない話まで
声がかれそうになるまで 4年ぶりでこうだ
子供の話では双方ともハラハラした話
そのあと彼女は 何を教訓として得たのかというと
「子供には期待しないこと」と言った
よく期待を裏切られていれば こんなふうには 言わなかったのかもしれない
なんでもよくできた子だったからだろう
こどもが できないことにぶつかったとき 親は期待を裏切られた というものらしい
彼女は学生時代と同様率直に包み隠さずに話す
私は やっぱり 学生時代から包み隠す(へんな言い方だけど)ところがある
まるで 反対の性格 彼女と話す度に 何でも話そうと思う
もう一つ 彼女は話がうまい おもしろいから 私は ずっと聞いている
彼女はよく笑い よく話を聞く
友だちの話もけっこう出てくるから 外に行くのも楽しいのだろう
「とちおは(旧姓)こんな夢のある絵を描けていいわね」という
「K子の料理はすごいうまいじゃん」
2人はお互いにいたわりあっている
彼女の子供は大学四年生の長男と専門学校生の長女
私の子供は27、25、20、18、14
私たちも少ししわが目立ってきた
50歳
彼女と別れて ホテルに行く 東京に住んでいる彼女は 泊るなんて
もったいないにちがいない
ホテルに入ってから ノートに(子供がほっていたノート)にいろんなことを書く
私は こういうことが好きなんだと 思う
翌朝 6時15分頃目がさめる
どこをとっても見知らぬ所 そんなときに 見覚えのあるノートは
心強い たったこれだけのことで? そう おおげさなやつなんだ
そうそう 彼女と バブルがはじけた話も出てきたな
バブルの時 食べ物でもグルメの人がふえ ブランドの服装も増えていた
うちは バブルの真っただ中では その恩恵はうけてはいなかった
子供は多いし 夫の絵はまだまだ売れてはいなかった
そんな大阪から信州に来る時 家が思いのほか高く売れて
びっくりした 1990年頃
それからしばらくして バブルははじけた
そんなことを 彼女と話して そしてホテルで 思い出して書いている
彼女は自分の家は平々凡々だと笑った 幸せそうにね
ご主人は私たちと同級生 学生運動に明け暮れている時もあった
デモにいっしょにいったこともある
平々凡々のはんたいって なにかしら 嵐のような運命?
自分の運命は どこらへんにあるのかしら
ホテルで着替えをする
これも子供のもっていた袋に着替えがはいっている
カエルの絵がついている
もってきた本
「沈黙の春」レイチェル・カーソン
タイム誌はこの本について「不公平で、一方的でヒステリックな誇張」
「感情的で不正確」と書いたらしい
ー自然界のバランスは生物間、および生物と環境との一連の相互関係から成り立っていて
野蛮な力がふみこんで一つのことをかえれば、必ず他の多くのことも かえてしまうー
難しい本だと思ってたんだけど この言葉わからないわけじゃない。ということがわかってよかった。
松本であづさに乗る時 クロワッサンという雑誌を買っていた
今回のサブタイトルは「ほんものの ブランドを教えてください」というもの
ブランドのこともその値段のことも 少し わかった
しかし こしがいたい
この東京の一人旅のタイトルは「あひるおばさんの東京見物」にしよう。
*
あひるおばさんの一人旅
私は 旅を楽しむということは あんまりなかった
そのかわり こういう少ない思い出は貴重で その日は一生懸命にその時をすごしている
多くの旅好きの人は 毎日の日常から解放されたいと 旅に出る
私は こどもが毛布の切れ端をしっかりつかんで 移動するように
必ず 見慣れたノートや 袋などをつかんでいる おおげさな旅人
お客さんはどんな旅人ですか