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家探し

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1982年 日記より 33歳

 さて 不動産屋さんも帰ってしまったあと 夫はこう言った
「そやけど おまえみたいなやつは知らんわ いらんことまでべらべらしゃべってからに」
わたしは言う
「今 気がついてん あのときHさんは わたしのべらべらをやめさせようとして
必死でウィンクしてたんやねえ 知らんかったわ わたしってバカやねえ」
夫が言う
「ほんまや アホやわ どう考えても今の家の欠点を あらいざらいいうなんて」
私が言う
「あはは それもそうやな」
夫が言う
「おれなんか どうして家を移ろうかと思ったかというと 自分の部屋が一部屋ほしいからや」
私が言う
「そんな たった 日曜日に ちょこっと仕事するぐらいのことのために?」

こんなやりとりをしていた

明くる日 わたしは言った
「Y(こども)あかんかってん お父さん裁判所で  お金かりられへんかってんやて」
Yは言った
「ええっ ええっ」
わたしは言った
「がっかりしたやろ お母さんも ほんま ここの台所には ◯を入れようとか
いろいろ考えてたのにぃ 夢やぶれたぁ」
Yは
「なんぼかりようとおもてたん?」
わたしは
「200万円」「あーあ きのう その家の近くに住んでいるNさんのお母さんに
電話で 住みこごちのええ家やと聞いたばっかりやのに よけいにがっかりやわ」
Yはがっくりきたらしく「ヨヨヨヨヨ ロロやなぁ」
 
夫はお父さんの家から帰ってきて いろいろ話を聞いてきた
一日の 変化に がくっときているわたしに 夫はこういうのだった
「多額の返済は われわれには無理やからな またこういう話を聞いてきたで
今な 裁判所で官舎があるんや 一カ月10800円 それは団地みたいになってるんやけど そこは6畳と6畳と6畳と板の間があってな 4畳半があって けっこう広いんや
これは等級がちがうから 本当やったら 入れへんところやねんけど 対抗馬がなかったら入れるらしいんや」
そののんびりした顔をみると なんか つかれてきた
わたしは言う
「それどこやのん?」
夫は言う
「奈良の学園前やねん」
わたしは言う
「ええっ そんな遠いとこ?いややわ わたしは近所の人と別れたくないのよ」
夫は言う
「まあ そういきりたたんと だいたい500万円より多く借金すると 大変らしいんや」
 
夫がこの家探しに熱心になっていた時は
「本の印税も入って来ることやし なんとかなるわ」そう言っていた
その時 わたしは 家のことはそう熱心じゃなかった
それが 今度は わたしも 熱心になった
その結果 こういうふうになっている

波乗りを かたりばんこにやってるみたいにね
あがったり ドボーンと沈んだり


自己資金が無い場合 もうこんなかんじですかね
でもここで積んだ経験は 次に役立ったのかなあ
本の印税? どれだっけなあ
その後も こどもが一人ふえるたび 夫は 自分の部屋が欲しいからと
家探しをしました
話は続きます

上の絵は こどもです 寝顔
《 2018.10.17 Wed  _  日記(日々) 》