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家探し

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1982年 日記より 33歳

夜になって Aの不動産屋さんが再度来る
わたしは 数は少ないけれども不動屋さんをあったっていた
わたしの人を見る目はたいしたことがないので 近所の奥さんに
聞いてのことだけど 地元の人で あんまり悪い事の出来る人ではなさそうな 
そんな人を見つけたつもりだった

「ええっと 1790万円で 駅にすぐ近くだし いいわよねえ この物件
不動産屋さんもそう思われるでしょ」わたしが言う
「はい まあこんなところで こういうふうな物件は まず出ないと思います」
と不動屋さん
わたしが言う
「そんでお金のことですけど この家が600万円で売れるとして 400万円足して
自己資金が1000万円 月々の払いが32000円とボーナス時が20万円
こうなるんですよね」わたしは ない頭をぎりぎりにしぼって そう言った
そしてつけ加えた
「そいで 西向きの家ってのは 陽あたりがわるいというようなことは ありませんですかね」かねてから気になっていることを つけ加えるのだった
「その場合は前にも申しましたように 今建築中ですので◯(これが何を書いているのかわからない)の窓をとってもらうとか 天窓をつけてもらうとか 今ならなんとでもなると思いますよ」不動産屋さんは言った

「あっ そうやったね」
「あっ またお金のことやけどね この銀行でかりるのと 裁判所で200万かりれたとしたらやねえ」またもや頭にはちまきをして 絞るように聞くと
「そら銀行より裁判所の方が利子が安いでしょうし いけると思いますよ」
わたしと不動産屋さんのやりとりは はるかにわたしがしつこかった
 
夫はというと その2人の話の間をぬうようにして お金の計算をしている
まるで長男が答え合わせをしているようだ で 不動産屋さんに質問している

そこへ友達でお世話になっている Hという男性が
2人の子どもの保育所時代からの親友達だ 娘のRちゃんをつれてきた
夫が親しそうに言う
「Hさん あがってえや 今 家のことで不動産屋さんに来てもらってるんやから」
わたしも言う
「どーぞ どーぞ この方はHさんといって銀行屋さんです」
不動産屋さんは
「はっそうですか」と

Hさんは目を細めて言う
「なになに 家を買うの?1790万円 ははぁーん 今 家はなんぼでもあまってるのにそりゃあ高いなあ。1790万円とは」
私たちは言う
「そうですか」
Hさんは やはり目を細めて(だいたい目が細いのだけど)言う
「新築でねえ 月32000円とボーナス時で20万 冬には冬物オーバーを買うこととか 暖房費とかとってあるの? 自己資金として全部とってしまうと大変だよ」
わたしは言う
「うん そやけど今までもボーナスはあるから使おか程度で あんまり買い物しなかったから 大丈夫やわ」
Hさんは言う
「そうかね そいで今すぐ この家を引き払ってどっかに行かなきゃならないということでもあるの なにか」
わたしは言う
「そう うらはマンションが建ったおかげで 夏は水が流れて来るしそれがお便所にはいるから」
まるで 悪い事自慢をそっくり返って行っているわたしだけど そのときふっと気付いたことがある
Hさんが一生懸命 細い目をしばたたせているのである
俗にいうウインクというやつ
それでもHさんの目は 細いのでさいしょ これはHさんの目の癖かなと思っていた
「こんど またいっしょに見に行ってやるわ 家は買ったわ 払えなくなったでは
今度ころがりこむところないからねえ」
そういってHさんは娘のRちゃんを連れて帰った。


親切なHさん一家のことを思い出して胸が熱くなりました
ところで こうして見て行きますと 家を探す時の目の付け所は
わたしなど ほんとうにずれていて 見えていない所があるものですね
Hさんが 訪ねてくれたことは 偶然とはいえ うれしかったですね
つづきます

さて上の絵は 子どものことを描いたスケッチです

《 2018.10.16 Tue  _  日記(日々) 》