who am ?I

PAGE TOP

  • 10
  • 15

家探し

スキャン3785.jpeg

1982年 33歳 日記より

日曜日になると 夫婦でまたもや嵐が吹き荒れる
家ほしい そんな嵐だ
ブワーンと音がするほどのもの

新聞配達に行った夫 朝ご飯をいっしょに食べようと思って 待っているんだけど
なかなか帰ってこない
あきらめて わたしだけで食べていると 夫の声
「あんな 新聞配ってたらな A住宅の人に呼び止められてな(そこにも配達している)
話を聞いとってん ほんでついでに家も見てきてん

わたしはというと 夫が新聞配りに出て行こうとした時にも 電話がかかってきた
「もしもし N住宅ですが ゴルフ場の近くにいい家があるんですけどなあ」ということである
わたしはその頃 こんな話にちょっと熱が冷めかかっていたというのか
「やめたんです ひえたんです」とつっけんどんに言った
なんでも一年以上前に ここへセールスマンとして(家の)きた人からの電話だったのだ。 わたしはその日の気分でセールスの人と話をしたり しなかったりだった
話を 参考のために そういえば 聞いた人だったことを思い出した
いまごろは ちょっと家のことは考えないでおこうと思っていたのに 

さて夫の話に戻るんだけど(だいぶ話してからだね)
夫は言った「新築で1790万円やねん。自分も行ってみたら 絶対気に入るわ」
えらい乗り気なのだ

わたしはというと この2、3日のうちに 別の住宅屋さんから教えてもらった情報を
夫に見せて ちょっと夫にこの熱を冷やしてもらおうと思った
「これ見て 毎月の月給から52000円 ボーナスの時に24万5000円も払わなあかんのよ こんなことできる?」
夫は言った
「そやけどな おやっさんもちょっとぐらいお金をくれるし この家が売れたら
買えるかもしれんやないか」
「そやけど 国民金融公庫で 2000万円の土地つきの家買うたら やっと620万かしてもらえて 銀行から630万円 それから年金から550万円そんでやっと 1カ月
52000円ボーナスのとき245000円も払わなあかんのよ」
わたしは 自分でもわからないまま 不動産屋で教わったことをまくしたてた
結局 月52000円ボーナスで245000円 これが 現実に払うお金だと

夫は言う
「そやけどな ちょっとおやっさんに聞いてみよか
そいで 仕事先でどれぐらいかしてくれるかも調べてみよ
その家で 2階6畳が3部屋 下の台所が8畳もあるんや 居間が6畳 西向きや」
「西向き?西向きは陽があたらんから あかんわぁ」
夫は言う
「そやけど家はまだ完成してないからな 天窓をつけたり 西側から陽があたるようにしたら うちよりずっと明るいねん」
「そやけど西向き 西向きはいや 家に陽があたるのと あたらないのとではすごいちがいやもん」
わたしは全くこの話には乗り気じゃないけれども 夫がすぐ近くだからというので
歩いて家を見に行くことにする
わたしは
「ああ ここで 階段からすべりおちたりしたら やめとこう」そうつぶやきながら
うろうろする
そして 家具や壁のない家というのは なんだか狭く見える
「これが8畳? 信じられない」 台所の左側の戸をあけると となりの風呂の窓が
見える。なんか覗き見してるみたいで いややなあと思う
「そんなら右側をあけたらいいですやん まだ途中やねんから」A住宅の人がいう
なるほど
そのうち わたしは 風邪を引いているので はながでてきた
一回じゃかみきれないくらい
そういうわけで あんまり感動も無いままで 家へ帰る

夫が帰ってから言う
「おまえゆうたら 知らんわ 家見にきてるのにはなをズルズルかむし そっくりかえって 話をするし そやからゆうて大事なところを ちゃんと聞いているかゆうたら
かいもくやろ ほんまはずかしいわ」
「そやけど 知らんやん あんなにはながでるの めずらしいやん」
夫は肩を落として言う
「いくらめずらしいかて」
「あっ そうや きいてきいて ほら あのとき お父さんと(夫のこと)はじめて個展会場で出会ったときよ はながズルズル出て 喫茶店に入っても人目もはばからず
かんでたやん わたし やっぱり この家買うことになるかもしれんなあ
大事な時に はながズルズル出るねん」
わたしは かたほうでは スケッチブックをだしながら
「わたしが このお産でいないときに 家が出来上がってたらこまるさかいに
ここに要点だけ書いとくわな
洗濯場は水道がきっちりと 台所のたなはぜいたくしない 水洗便所は和式に」
こうして 書いていくとと なんだか不安になるくらい いっぱい注文の箇所が
出て来るのだった
まるで 今の家の不満をあらいざらいぶっちゃけたという感じである


なつかしい家探しのこと
これは続きものにしていいですか
わたしは4番目の子どもがおなかにいて ふんぞりかえっていたのでしょう
この家探しというのは 夫婦でやっきになるときと ずれるときがあるんですね
新聞の中のチラシなんぞ見て 広さを見て そのうち 金額のことなど
忘れてしまうのです
それでも 大きなお腹して いろいろやってたんですね
その息子が やっぱり 高い家賃から脱出するには 家を買った方がいいのか
いろいろ迷っています 同じことをしているのですね
ローンをくめたのは裁判所に勤めていたからなんですね
それとそのとき住んでいた家が持ち家だったこと 
いやいやこの家にきまったわけじゃないのです
ははーん 夫が35、6のときです
おれの部屋が一部屋欲しい
たしか それが理由でしたね

そうそう上の絵 けっこう和紙にまじめにかいた 祈りなんて殊勝なこと考えて描いた絵
です
《 2018.10.15 Mon  _  日記(日々) 》