NEKO美術館 成瀬憲子

東京物語はつづきます

娘とわたしは東京のアパートで２泊した。

私の家は　大きい

息子のアパートはせまい

２部屋に　台所もトイレもお風呂もふくまれている

そこにおおきな本棚とベッドがある

引き算（？）すると娘とわたしは一枚のフトンに寝るという事になる

カーテンがしまっているので　外の事は外に出てしかわからない

洗濯物を干していて　雨が降ってきたので　入れては見たものの

しづくがたれると　息子は考えたらしく　もう一度外に出して

今度晴れるまで　かわくまで　外

洗濯機も冷蔵庫もこんなところなのにある

それなりにかたづいている

こういうところで　よごすと　足のふみばもないだろう

一日目の晩は　少し落ち着かなかった

二日目の晩は　娘とわたしは　おそうざいやさんで　いもとかサラダとか

買ってきて　ごはんはこのアパートでテレビを見ながら食べようという事になった

都会でいっぱいの人を見ながら歩くのも楽しいけど

晩になると　こういう狭い所でもいいから　のんびりしたいと思う

息子は高田馬場に友達と３人で事務所を借りている

そこへは自転車に乗って行っている

そうそう　息子のアパートへは目黒の駅を降りて行く

とすると　新宿からの山手線で　親切な女性に「目黒の駅は渋谷から一つ二つ目ですよ」と言われたけれども　わたしは目白と目黒を聞き間違えたのかもしれない

つまり　白金高輪に行くまでの道中と　息子のいる駅の道中に同じ目黒があるというのも

地図を見ればすぐわかることなのに　考えているわたしだ

目黒の駅を降りて　息子の住んでいるアパートまでの道中には　学習院大学がある

学習院大学高等部というのもある

まあ　ごろごろと　学習院の植え込みを右手に見ながら歩く。