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きりぎりす

きりぎりす 大宰治 つづき

あれ 「かもめ」のなかに 「きりぎりす」というのがサンドイッチのようにはさまってる
つぎのぺーじが「かもめ」だから どういうことかわかりませんが つづけてみましょう

私は、やさしくなってしまった。
 あれから、もう五年経った。そうして今でもなお私は、半きちがいと思われているようだ。私の名前と、そうしてその名前にからまる伝説だけを聞き、私といちども逢ったことの無い人が、何かの会で、私の顔を、気味わるそうに、また不思議なものを見るような、なんとも言えない失敬な視線で、ちらちら観察しているのを、私はちゃんと知っている。私が厠に立つと、すぐ背後で、「なんだ、太宰って、そんな変わったやつでも無いじゃないか」と大声で言うのが、私の耳にもちらとはいることがあった。
私は、そのたびごとに、へんな気がする。私は、もう、とうから死んでいるのに、おまえたちは気がつかないのだ。たましいだけが、どうにか生きて。
 私は、いま人では無い。芸術家という、一種奇妙な動物である。この死んだ屍(むくろ)を、六十歳まで支え持ってやって、大作家というものをお目にかけて上げようと思っている。その死骸が書いた文章の、秘密を究明しようたって、それは無駄だ。その亡霊が書いた文章の真似をしようたって、それもかなわぬ。やめたほうがいい。にこにこ笑っている私を、太宰ぼけたな、とささやいている友人もあるようだ。それは間違いないのだ、
呆けたのだ、けれども、ーと言いかけて、あとは言わぬ。ただ、これだけは信じたまえ。
「私は君を、裏切ることは無い」

***

大宰治のことなんですね
ええっ いまさら?
 
「その死骸が書いた文章の、秘密を究明しようたって、それは無駄だ。その亡霊が書いた文章の真似をそようたって、それもかなわぬ」
「私は、いま人では無い。芸術家という、一種奇妙な動物である」
これはこの作家の風貌と ぴたーっとあってるから いいんですよね
太宰さん 真似も秘密の究明も 読みはじめたあたいには なんのこっちゃら
不思議な天才 笑う大作家 こう呼ばれたいのだな
霊界からの 出戻り この世では得られぬものを携えて
などと
私がほざいておりますと 風がさーっと首の辺りを通り過ぎました
正直な話 気持ちいいです 

話は変わりますが テレビで 女優さんがご両親の物置を掃除するのをみました
まだ 私には 反省の色は 少ないです

「私は君を裏切ることは無い」
言い切ると きっと ゆりもどしがくるんだよね





《 2018.07.26 Thu  _  1ぺーじ 》