who am ?I

PAGE TOP

  • 04
  • 15

さがしもの

スキャン3530.jpeg

シナリオを 書いてみようと思ったのは ずいぶん前の話なんだけど
どうしてかな
きっかけは はなしのねたが 近辺にはころがっていると
そう感じたからかも知れない
だからといって シナリオという 全く書いたことのないことを
なぜ?
そうだ 想い出しかかってる
息子のK が東京にある 映画学校にいってたんだ
それで いつもの 下手な字で シナリオを書いていたんだ
その字を 見ていて 自分は 「これよりはましな字が書ける」
そう思った
「シナリオは 文字の形ではなく 内容と シナリオの作法じゃない?」
シナリオの本を途中から買ってきて そう思いました
で わが得意なペラポン(うすい 超うすいお話本)サイズの シナリオ
を計3冊 書いたというわけなのです

その1冊 本当は残りの2冊の方がおもしろいかもしれないんですが
娘Aのことは 許可なく書くといかんかな というので ぱす
もう一つは 近所の美容院の人に許可を取らなきゃで ぱす
だけど シナリオというのは 小説といっしょで なにからなにまで
本当に起ったことを 書かなくても いいんですよね
でも 本当に起ったことだから おかしいんですけど 
ま ごちゃごちゃいわんと はじまりはじまり

『1分のあいだ』

場所
古い二階建ての借家の一室 
22歳の男が 画家になり 作品に取り組んでいる
はじめて親元を離れたばかり 
個展の準備をすすめている

 案内状の写真を デジカメで
とろうとしている
ただ一つある窓辺で そこからの光をとり入れて 作品たちを なるべく
よくとりたいと 彼は考えている そのことに一生懸命になっている
しかし やっと 設定はおえたのに さきほどもってきたはずの
デジカメがみつからない

男 「あれ デジカメどうしたっけ 今もってきたんだけどな
  今の話なのに
  ちくしょーどこまで おれはついてないんや」
  (きれるタイプ マイナス思考の主のような男)
  「いや まてよ 1分のあいだに どう動いたんだ?」
 (さすが そばには親もいないし 下の男に文句も言えるほどの 仲ではない)
  
  (そこで彼は ビデオの巻き戻しのように うしろむきに歩きはじめる
  (部屋は ひろくはない)
  (しかし ない)
  (こんどは まえむきに 歩く キョンシーのように)

男 「おっかしいなあ
  一分の間に どういうことが どういうことが起こるっていうんや」
  
  (で また うしろむきに ツツツーと歩く
  ごつんとかべにぶつかる)

男 「いつもこうなんや 
  おれが なにしたっちゅうねん」

  (で 今度は前向きに歩く
  ここで彼は 狭い部屋で 同じ方向へは歩かない
  おなじところは 探しても無駄だというわけだ)

男 「おれが 今しようとしていることを じゃまするやつは
  だれや」

  (彼は 天井を指差している
  その じゃまするやつを さがす かれのやりかた)

  (さんざん 四方 八方 いや もっと歩いたあと
  彼は丸くうずくまる)

男 「くまなくさがした」

  (カメラは 彼を よこからとる
  うえからとる 
  頭上だけをとる)

  (電話がかかってくる
  りーんりーん)

男の母 「もしもし もしもし もしもし」
    (彼女は受話器を あっちにむけ こっちにむけ ひだりみみにかえ)
    「もしもし もしもし もしもし」
    (しばらくして)

男 「はい」
  (声のトーンは かなりひくい)

母 「どーしたんよ いるんならはやくでなさいよ
  ごはん食べてる? 彼女はできた?」
  (いつもの 母親の挨拶は こうだ)

男 「ないんや」
母 「たべものも彼女もないの?」
男 「ちがう」 
母 「ほかに ないものあるの?」
男 「ある」
母 「おこらないから いってみて」
男 「デ・ジ・カ・メ」
母 「えっ!  おとしたん? どこにおとしたのよ ああもったいない なさけない
  ぼーっとしてるからよ」
男 「よくきけよ」 
  (こえを あらげて)
  「一分の間に この部屋で なくなったんだよ」
母 「一分」
  (しばし沈黙)
  「それで 一分前にはどこにあったんよ」
男 「一分前? そやな それもわからん」
  (わかるはずがない)
母 「そうか そうなんだね ちょっとまっててや」
   (しばらく)
  「今ね お母さんは ぶらさげてきたからね」
男 「なにを」
母 「はさみ ひもをさがしてたから ちょっとかかったね
  お父さんの ぱんつのひもぬいてきた きいろいひもが
  効果抜群なんだけど ま しかたないわね」
男 「こっちは ぶらさげなくて ええ?」
  (母のぺーすにまきこまれている)
母 「ん・・そっちはいいわ こういうのは瞬時じゃなきゃね
  あんたは さがしものすると なかなかだからね
  デジカメを探すのと もうひとつ ひも」
男 「オレ 回転椅子の上に立って 全体を見渡すわ」
母 「それもいいわね もうすぐはさみが教えてくれるからね」
  (回転椅子にのった彼は くるくるしながら 狭い部屋を見渡している)
  「やがて見つかるわよ 楽しみに待っててね」
  「ちゃんと食べるのよ 彼女はまだ?」
  (電話は切れる)
男 「一分の間に」
  (回転椅子の上の彼は 何度かそうつぶやく 時はあの一分から変化してない)
  (ここの回転椅子のシーンは大事
  やっきになってくるくるやっているんじゃなくて 
  ぼーっと意味なくくるくるやっている
  やがて 上着のポケットに手をやる)
男 「あ・っ・た!
  ばか ばか ばか こんなにみじかに ばか ばか あほ ばか」
  (あたまをかいて 上着のポケットからデジカメを出す) 
  (それから 狭い部屋をぐるぐる回って笑う)
  (しばらくさわいだあと デジカメをまたポケットに入れて 
   作品を抱えて外に出る)
男 (ポケットに手をやって にんまりしている)
  「よし ここでうつそう」

  (春の新芽がごみのあいだから芽を出している)

  ちなみに 登場人物の男は
  たよりなさそうで いろじろで そんな男
  母親は 小太り 

***

いやあ いつものように
スカウトにこんとってな 
《 2018.04.15 Sun  _  ぷれいんぐルーム 》