who am ?I

PAGE TOP

  • 02
  • 10

犬をかったことがある

スキャン3426.jpeg
「日々 名前はミッキー」 NEKO美術館発 2008

続きを打ちますね。このところこの方法ですね 私のことだから 
しばらく 続くでしょうね。

やっぱり 忙しくなった。
私は この新入りに 言うことを聞かせようと思うので
イライラしている。
子犬だし 首輪をしようもんなら 何とか外そうとして はずしてしまう。
飼い犬は 首輪をしているものだと 見てたんだけど はじめからそういうわけでは
ないということがわかる。
玄関でかうことにしたんだけど というのも まだ犬小屋がないから。
母犬から引き離されたばかりの子犬は ひとりでじっとしてられないし なんとかして
上に上がって われわれのそばに来たいらしい。
ところが わたしは 最初が肝心よとばかりに あしでぽーんと おとす。
東君平の新聞の中の童話に
ー「はじめがかんじんだよ、とか何とか言われて、子犬は何だかお母さんの
おっぱいがこいしくなって なきました」ー
というのがある。自分は その通りのことを この子犬に言っているわけで。
こどもらが「かわいそー」とそれを見ている。そしておそるおそる
「おりなさい」と言っている。

いつごろからだったか 首輪ははずさなくなり それにひもをつけて 
散歩したりするようになった。
自分の子育てが忙しくなると 散歩も「一人でいっといで」などと外に出した。
この犬は ミッキーという名前にした。何だか男っぽい名前だけど
長男が「女みたいな名前 呼ばれへん」と言ったのでそうなったんだけど
女みたいなといっても この犬は女だ。
彼女が外に散歩に行っている間に すこしはなれたところにいるミッキーという
男といっしょになったらしく おなかがおおきくなった。
きっと向こうの飼い主が ミッキーとよぶので ついふらふらとついていき
その男ミッキーとねんごろになったのかもしれない。
で われわれは 家のミッキーが子犬を産むまで お腹が大きくなってるということを
まったく知らなかった。たしか犬の場合 3カ月で産まれるということを 聞いた
ような気がするが いまだによく知らない。5年ほど ほかの男がきたことも
あったけど お互いの鎖が からまって 困ったことぐらいだった。
その間 うまれたといえば 私の方だった。その後 もうこれでおしまいと
私は宣言して それからの話で ミッキーも私に気を使っていたのかもしれない。

ミッキーは 2回 子どもを産んだ。どちらの父親もあのミッキーだったのかは
わからない。それでも私たちは子犬たちを もらってもらい その子孫の血は もしかして 脈々と受け継がれているかもしれない。
ところで一回だけミッキーの相手を見たことがある。うちの門柱のところで 黙って
寝そべるようにして いたのだ。 なかなかいい男だった。

それは大阪での話だったが この信州にきて ミッキーは まもなく フィラリアで
7歳で死んでしまった。

その7年間というのは われわれ一家は かなり 貧乏時代だった。
しかし なぜか ミッキーの子犬をだきあげたときは 幸せな気分になったものだ。
そうそう ミッキーは 義父が大好きだった。ゆっくり散歩に連れて行ってくれたからだろうか。 義父も「おまえだけやなあ こんなに喜んで尻尾ふってくれるのはぁ」そう
言っていた。


《 2018.02.10 Sat  _  思い出 》