「おもいでは いつも うれしくない」NEKO美術館発
自分に聴いてみるんです
うれしい思い出と やるせないのと どっちが多い?
するとね 後者が がぜん多いんですよね
これもそのひとつです
これは 小学一年生の黒板の上
そんなに にがいのなら 黒板消しで消してしまえばいいではないですか?
それが そうはいかないんだなあ
*
人形を描くことになった日
人形を描くのは 得意でしたよ
何人かは そのことを認めていましたから ノート見せたりして
それなりに アッピールしてたんですかね
ある日 教室で先生がこういわれたんです
「みんなの中で絵が上手な人」
で そのとき 友達の一人が
「それはのりちゃん」と言ったのです
えっ!と思った記憶はないから
きっと 予感があったんです
ま わたしは こどもでしたから こんなふう
自分から手を上げなかっただけでも ましですよね
まわりから いってもらうほうが たしかにいいですよね
先生にすすめられるまま わたしは黒板に 絵を描くのでした
じっさい 黒板というのは すぐそばにいくと 大きいもんです
上にも よこにも
一年生のわたしは いつもノートに描いていたように
小さな小さな 人形を 白いチョークで描くのでした
そのとき わたしは 得意ではありませんでした
いつもの絵が ノートに描くのと 大きな黒板に描くのとでは
ちがうと思ったからかなあ
で それ以来 みんなのノートに 人形やバレリーナの絵を
描くのを やめた というわけではなかったんですね
描いてといってくれる 数人の友達がいたからかもしれません
営業的には(笑い)絵に登場する少女に サクラコとか工夫をおこたりません
少女や少女クラブという本にあるように うまく写し取れたわけでも ありません
しいてゆうなれば(笑い)自己流だったのでしょう
このことは ずっと あります
で それはその後 わたしに 有利に働いたかというと
そうはなりませんでした
自己流は 大きなところにおいてみて 気がつくものかもしれません
気がつくのが 小さい時過ぎたのでしようか
そこでめげて やめてしまってたら
これも めげるほど 思春期じゃなかったからでしょうか
いろんな偶然が重なって
わたしは こんなふうなんです
でも ひきだしから あの思い出が出てくると にがいです
音楽の時間に お洩らしをしてしまった時の 思い出も さらに にがいですがね
みなさんは にがい 思い出は ありますか。