庭園
孫のところから 夫セイが色とりどりのビーズを もらってきました。
最初はそのいっぱいのその物自体にかすかに驚きました それからそのちいさなものを
この不器用な指がつまめるかなと それからプツプツの突起の出た白い台のうえに
おいてみました ピンセットだと 指先よりはシャープだからそれでつまもうかなと思いましたが それでは いけない 心が美しくないなどと理由を付けて このばあさんの指先のみで ビーズをおいてみることに しかしこれで えたいの知れているものを作るの
は アーチストのやることじゃない などとやはり理由を付けて このあいだの海岸で拾った石を いっしょに 置いてみることに しかし天竜寺の石は ただ置いているだけではないということを 聞いたので 将棋の駒を 名人が指先でそっとおすように おいてみます しかし名人はどの指で 置いているのかしら で その石が主人公なのか はたまたビーズが主人公なのか 星の砂が主人公なのか そういうことを考えることこそ 無の世界からは 遠のいているのではないかと
そんなふうにして このややこしい人は なかなか結論が出ないまま
ビーズを つまんでいるわけです。
台は そーめんのふたです