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けったいなアメリカ人

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「けったいなアメリカ人」米谷スミ子著 集英社

ミラー、メイラー会談傍聴記 つづき

 彼は視覚的な人だったんだ。だから彼の文章は感覚的だったんだ。温かい人、肌で人の判断ができる人。ミラーが書いた文章からよりも、彼の描いた、使った色彩からヘンリー・ミラー全部が急に判ったと思った。
 メイラーが、五十二歳になっても未だに秀才という殻から抜け切れず、頭がきりきりと回り、眼から鼻に抜けるという感じが否めないのに対し、ミラーは全身で感じ、じわじわとそれを表現して行くという人となりなのだ。彼は不自由な体でも、人をくつろがせる
雰囲気を素早く作る。一座をとても和やかにする術を知っている。こういう人となりだからこそ、パリ時代に友人の所の食客になって飢えを凌ぐことが出来たのではないだろうか。
 ディックの「あのおじいさん呆けいてたらどうしよう」という懸念は、とっくの昔に
吹っ飛んでしまっていた。
 そして、クリスタの「チャーミングなおじいさんよ」と言っていたことは本当だった。
 この訪問から三年後、ヘンリー・ミラーは八十八歳で亡くなった。「彼はうたた寝をしながら往っちまったんだ」と同居人のビル・ピカリルは言った。

***

これが ミラー、メイラー会談傍聴記の最終回です。
私は このページを読んだのは初めてじゃないのかもしれません。でもそうだとしても
私が忘れっぽいことと この傍聴記がとても魅力的だったので 飽きることなく読みました。 みなさんはどうでしたか?
私は ヘンリー・ミラーの言っていたこと(まだどっかにそのコピーがあるはずなんだけど さがさなきゃ)、絵が好きです。だけど本は読みかけてはすすまず とうとう一冊もまともに読んではいません。

ミラーの人となりをこうしてふみ子さんの本で読ませてもらいますと その資質がうらやましくなります なぜって なりたくてもそれが彼の資質なのだと思うからです。
一座をなごやかにさせるところ しかし話の内容は きどらず 知的。
彼は この会談で 疲れた風でもなく やんわりと つくところはついていますよね。
「ミラーは全身で感じ、じわじわとそれを表現して行くという人となりなのだ」
それが絵にもあらわれているそうです。

「そうなんだあ」自分はメイラーではないですけれども 形は違えども そちらに立っている気分になりましたよ。
傍聴人ふみ子さんは よく観察しましたね。
私はメイラーがミラーの引き立て人となってしまったことを こころから...
あれ そういうはなしじゃないですよね。
ミラーはおそらく若い時から こういう人なのでしょう。 私には ミラーその人となりにあこがれる会談でしたね。


あっ もうちょっとのところで忘れるところだったわ!
ノリコ・ミラーは あれノリコ・リーです。
この作品は みをぎさんの下さった 和紙の毛筆によるお手紙を背景に
パリの外灯をおいてみました。 紙粘土時代を代表する 作品です。(そんなええもんかい)
こうして 優しい毛筆とコラボレーションしたりして よろこんでいるわけです。

絵にはその人となりがでると よくいいますよね。
見る側の人は どう観察するんでしょうね。それはいろいろなんでしょうが 面白いと同時に 描く側は どっきりドキドキじゃないですか?

 
《 2017.07.10 Mon  _  1ぺーじ 》