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おはなし

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「ぱうぱくって子」 NEKO美術館発

とつぜんの おはなしで もうしわけないことです。

とてもぷくぷく太った かわいい子が ここにいるのです。
この子が いったいどこからきたのか 誰も知りません。

でも なぜか みんなが気にかけてやりたくなるような
そんな子なんです。

ここは 森のなかです。
この子は そこにさいている赤い花や
くだものや 木のみを まわりりのどうぶつ達にもらって
ぱくぱく食べています。

「きもちよく 何でもぱくぱく食べる子だねえ」みんなは笑いながら言いました。
「なまえは どうする?」「ぱくぱくたべるから ぱくぱくでいいんじゃないのかい」

こうなると あとはぱくぱくと みんなは おしゃべりをしたり
かけっこをしたり ときにはけんかをしたりして
よるになると よんでくれるところにいって すやすやねむるだけです。

からすの ぱーおばさんが一番世話をやいてくれます
「ぱくぱく おまえのお父さんやお母さんは どこにいるんだい?」
そんな よくあることをきいたりして こもりうたをうたって
くろいはねのなかで ねかしてくれます。

「ぼくはね えっと あそこから おっこちたんだ」と
高い雲のあるところをゆびさしていいました。
ぱーおばさんは
「ええ なんだって? あんな高いところから よくけがをしなかったねえ
おまえさんは 運がいいねえ」
そういいました。

ぱくぱくは にっこりわらったまま その日は すやすやねむってしまいました。

ぱーおあばさんは そのつづきを ぱくぱくにきいてみたいと思いました。
他のどうぶつ達にもきかせてやりたいと 思いました。
みんなはそう思いませんか?

「ねえ みんないつものように おいしいくだものや木のみをもって
ここに集まってよ。今日ぱくぱくの つづきばなしがあるんだよ」
そういって きのうぱくぱくからきいたはなしを しましたよ。
どうぶつたちは ふむふむと聞いていました。
「そりゃあ そのつづきは ききたいよなあ」
それぞれに いいました。

ぱくぱくは にっこりとわらって いいます。
「ぼくは たしかにあそこからおちたんだけど いたくなかったし
けがもしなかったよ。はねもついてるから とべるんだけど
それより ぼくは ふあふあなんだ それはおとうさんやおかあさんに
きいてみないとわからないんだけど そのせいかもしれないね」

どうぶつたちは 「なるほど」といいました。
でもからすのぱーおばさんは それだけじゃあ ふむふむといいません。
せわやきのぶんだけ とてもききたがりなのですから。
「きのみやくだものをたべても ほら りすはあんなにしっぽがおおきいだろ
ぞうなんて おおきすぎて びっくりしてしまうよ きりんはとってもくびがながいんだよ みんなふとってて よく食べて でもおまえみたいに ふあふあとかるいのはいないよ」

そのはなしをきいていて みんなも「そりゃあそうだ」と思いました。

でも そんなはなしだけだとつまらないので まいにち かけっこしたり
飛べる鳥達とは 木から木へ ときにはみずあびなんかもしました。

そして なんにちも ぱくぱくはみんなといっしょにくらしました。

ある日 空の方から ひらりと いちまいの紙がおちてきました。
そこには こういうことがかいてありました。

                      」

どうぶつたちもからすのぱーおばさんも その文字がなんて書いてあるのか
わからないのです。
ぱくぱくだけは わかったらしく うなずいています。

それから またなんにちも みんなはいっしょに くらしました。

とうとう冬になりました。
冬になると どうぶつたちは寒さに しんぼうできないのもいて
木のあなのなかにはいりこんだり かれはのしたにもぐりこんだり
します。ぱくぱくだって さむいからこまります。
からすのぱーおばさんは 
「さて ぱくぱく おまえさんも どうにかしなくちゃね」

するとぱくぱくは ぱーおばさんに こういいました。
「あのね ぼく さむくなって もっとさむくなって ゆきがふってくると
おうちにかえるんだよ」
ぱーおばさんは おどろいて くろいはねを ぱたっとさせて
「どういうことだい それは」とききました。
「あのね ぼくは あのしろいゆきのなかから おおきくてあおいゆきを
みつけるんだよ。それがぼくののりものさ」
にこにここたえました。
だいぶ ふゆにそなえてかくれてしまったどうぶつたちですが
「そうなんだ」とかんしんしました。
「いっしょに それまでまっててやろうか?」とすくなくなった
どうぶつたちは ぱくぱくのかおをのぞきこみました。
「うん みんなのきもちは とってもうれしいけど きみたちがこごえると
こんど はるになって まちがってここにおちてきたときに 会えないじゃないか
だから ぼくはできれば じぶんで あおいゆきをみつけて かえることにするよ」

ぱーおばさんは ちょっとうつむいて くろいはねでなみだをはらいました。
「ぱくぱくは なかなかやるねえ。 おみやげにおばさんのはねをいっぽんどうだい
おみやげに おまえがまくらにしていた はねだよ」
そういって えいやっとはねをぬいて ぱくぱくにもたせました。
りすは くちにほおばっていたどんぐりを ちょっとつばがついてるけど
ごめんな とかいってわたしました。 はっぱのしたで ふゆじたくをしていた
むしたちも あかいはっぱを すぐいろがかわるけど いまはきれいだよ とかいって
わたしました。

ぱくぱくはそれからなんにちかは からすのぱーおばさんぐらいしか きてくれない
大きな樹の下で ゆきがふるのをまちました。
それからどうなったかって?
どんなふうに ぱくぱくがあおいゆきをみつけたかって?
あおいゆきって どんなんだろうね。
そのゆきののりこごちは どんなもんかしら。

おとうさんとおかあさんは ぱくぱくのこと
「おかえり」ってやさしくいってくれたかしら

からすのぱーおばさんは その後さみしがってるかな


《 2017.06.27 Tue  _  ペラ本 》