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けったいなアメリカ人

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「けったいなアメリカ人」 米谷ふみ子著 集英社

ミラー、メイラー会談傍聴記 つづき

ディック 「他の作家のことも話して戴きたいのですが。ミスター・ミラー、貴方がパリにいた時尊敬しておられたブレーズ・サンドラールについて」
ミラー 「彼は素晴らしい人です。素晴らしい飲みっぷり、冒険家。ヘミングウェイなど、サンドラールに比べれば小さな男の子のようなもんですな。ヘミングウェイは文章が立派やったんでね、そやから僕はフランスに行きましてん。あの『陽はまた昇る』を読んだばっかりにな。あれがフランスに行った一つの動機やったんです。そやけど、後から彼の他の本を読んだら、そうは思わんようになってしもた。なんでか知らんのやがね。何か、彼に対しては生まれる前からの偏見があるように思いますんや。僕は彼の値打ちを認めようとせえへんのですな。人々はヘミングウェイの良い点を認めますやろが、僕は、ただ細工の仕方を知っている、小心で几帳面な作家や、とだけしか思わん。あんなんを技術屋と言うんや。ところで、性格は違いますが、トーマス・マンもそうやと思う。トーマス・マンが好きやと思てた頃、あるアイルランドの作家でマンを嫌てたのと、よう口論したなあ。その作家がある日、"じゃ、『ヴェニスに死す』を朗読したまえ"と言うたので僕が大声で読み出した。その時、文章が長うて手の中でへなへなと感じた出したんを覚えてます。あれ以来良う書けてないと思い始めたんですわ。ところで、あの『ヴェニスに死す』はどんだけ自伝的なんやろか、といつも思いますんやが、あんたは知ってはりますか?」

***

ヘミングウェイやトーマス・マン 映画で「老人と海」や「ヴェニスに死す」をみたことはりますが 読んだことはありません。
只それだけの私なんですが ミラーのようにヘミングウェイの『陽はまた昇る』がきっかけでパリに行き そこでへミングウェイの他の作品を読むとそうは思わなくなった そこが おもしろいですね。
だれも 作品の価値などをうまく言い当てている人は 実は 少ないのかもと思ったことでした。
でも彼は「生まれる前からの偏見がある」とヘミングウェイの作品にこうまで言い放っている。ここまで言われたらヘミング上ウェイ もう がっくりくるか 怒るかでしょうね。
トーマス・マンについても この作家について口論したある作家が ミラーに
"『ヴェニスに死す』を朗読したまえ"といったので 大きな声で朗読したんですね。
そしたら 文章が長くて 手の中でへなへなと 感じたんですね。こういうからみが
「考えや思いは 一定ではなくてもいいんや」 と我々を 自由にさせてくれませんか? 
「『ヴェニスに死す』はどんだけ自伝的なんやろか、といつも思いますんやが、あんた知ってはりますか?」
だれしもが そのようなことを 思うのかもしれませんね。 
それを いってくれるミラーです。
われわれは 俗っぽいことを有名な作家の作品に対して なかなか言えないものかもしれませんが これはミラーがいってのけたから ふむふむと思えるのかもしれませんね。
そうそう サンドラール どんな作家なんでしょうね。


さてー ノリコ・リーの作品ですが ミラーにコテンパーにいわれるほどのものじゃござんせんので あしからず。
この絵は紙芝居用に描いたのではありません。
しかし ちりかみで暑く抱き合う恋人たちや(わkらないでしょうけど) キリンのハイネックさんや しあわせを呼ぶ筈のネックレス そして ぞうたちが
紙芝居のお客です。
なんのお話? いえね なんでしょう
《 2017.06.25 Sun  _  1ぺーじ 》