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ヨーロッパからの手紙

フーフー通信 ヨーロッパからの手紙 夫 1985 続きです。

 みんなからシンちゃんと呼ばれている安田伸くん。彼は最近二十歳の誕生日を迎えたとのことですが、千田是也が主宰する東京学院というところの学生生活を一年休学してヨーロッパに来たそうです。このマドリッドの安ホテル(一泊素泊まりで七百五十円ほどですが)に僕たちが着いた夜、シンちゃんと雑談していた時、彼は、僕に最近つくった詩を批評してくれといって、二篇の詩を見せてくれました。それは先日、モロッコへ旅した時、見た虹の感動を詩にしたものでした。彼はこの虹を見て以来、なんだか調子がいいんだというのです。

どんな虹かというと、虹の橋の両すそが、まさに大地までとどいている、まさに巨大な半円を描いた虹だったそうです。こんな大きな虹、絵では見たことがあっても本物が見れるなんて、はじめてで、(僕も見たことない)そして、自分を乗せたバスが、この橋に向かい進んでいるのです。それはこの虹の橋をバスがくぐり抜けて行くかと思わせるものだったそうです。でも、バスは行けども行けども、虹は彼方にかかっています。このシンちゃんのこの時の気持ちは、話を聞く僕にも充分伝わってくるものです。二篇の詩はその時の感情をうたったものでした。僕は、こうした二十歳になったばかりのシンちゃんと旅の話や演劇のことや、家族のことや、また将来の事を話していると、たのしくも、またうらやましくもなったものです。

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「千田是也」名前だけ覚えています。千田是也の奥さんが「夫の後始末」という本を書いた ええっと 登山のええっと(これでちがってたら)忘れました。東宝学院の生徒さんもきてたんですね。「若い時にこういう経験をすると いいんだよね」なんて事誰かに言われそうだね。 私はもじもじ族で それは若い頃からなので それでも「それじゃあいかん」と思い続けているので こうなるのでしょうね。若い頃は 散々迷った後 ぴゅーんと飛ぶもんだから それこそ自分でも「よくやった!」とたぶん人より感動しましたね。

このシンちゃん モロッコで大きな虹を見たのですね。出合ったと言いたい所だけど 虹は決して出合えないんだよね(笑)
夫は 何歳だったんやろ。いま計算してみたら31?チャウチャウ 31年前ということは39ぐらい これでも違う気がするな。

で、シンちゃんは 東宝学院卒業して 俳優さんにでもなったのかな?




《 2016.06.06 Mon  _  思い出 》