ブロンテ姉妹 その知られざる実像を求めて 中岡洋
家庭教育ーいかにして天才は創られたか
日課
父親パトリックは教区司祭であったから、当然教区での仕事に忙しかったが、司祭館はひっそりと静まりかえっていて、村人がいうには子どもがいるとは思えないほどであった。一家はその司祭館の中で、まるで予定時間の厳守、慈善活動の励行など、生活の方法を遵守するメソジストのように時間を厳しく守り、決まりきった日課を繰り返していたのである。
冬でも朝は7時に起床し、夜9時にはパトリックが2階に上がって行く途中で、踊り場で時計のねじを巻いて、一家は寝静まることになっていた。しかし、実際子どもたちは密かに夜遅くまで空想の遊びをしていて、就寝は11時頃であった。
シャーロットはのちに友人のエレンにブロンテ家の日課を手紙で次のように述べている。
1日について述べれば全部の日について述べることになります。朝は9時から12時半まで妹たちに教えたり、絵を描いたりします。それからわたしたちはディナーの時刻までお散歩をします。ディナーの後はお茶の時刻まで裁縫をします。そしてお茶の後は気の向くままに書くか読むか、あるいはちょっとした手芸をするか、絵を描くかします。
こういうふうにして、ちょっと単調ですけど、なかなか楽しい日程でわたしたちの生活は過ごされています。
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6人兄弟でしたよね。その家風のつぼをおさえて 「夜遅くまで空想の遊びをしていて...」楽しそうに見えます。5人姉妹でした。いいなぁ 兄ばっかりだったわたしは こういう姉妹の夜の空想遊びなんかどんなのだったんだろうかと。
一見厳しそうな家庭でも ちゃっかりすきまをみつけて。これは家庭教育のはなしというより 姉妹のわくのなかでの 生活ぶりだと思うな。
さいならさいなら