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ヨーロッパからの手紙

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フーフー通信 ヨーロッパからの手紙 つづき 1985 夫

さて、この話に入る前に きのうの「大蛇さま」の想像図です。みなさまはどんな大蛇さまを想像なさいましたか?

ヨーロッパからの手紙

 夕方、といっても陽の沈むのがおそいこちらでは、七時頃だったでしょうか、浜辺を散歩していて、地引網をしている光景を目にしました。最初、七、八人の女たちが砂の上で円座をつくるようにして、それぞれが手編み物などしながら、また若い母親は膝の上で子供をあやしながら、大きな声を投げ合っているそのそばで、僕たちも腰を下ろしていたわけですが、そのうち、どこからか、男たち、それもどちらかいうと、老人五、六人がやってきて、地引網がはじまったのです。それまで砂の上での井戸端会議をしていた女たちも、またボールけりをしていた子どもたちも、いっしょに、この単調な仕事に加わります。沈む夕陽と波の音をバックにしたこの漁民たちの光景は、何十年も、いや何百年も変わらない海辺の人々の祈りにも似た労働の姿かと、旅の僕には思われてくるものです。
 夜の九時頃、浜ではまだ子どもたちの遊ぶ姿も見られます。サッカーの盛んなこの国では、男の子たちは砂の上でボールを追いかけ、女の子は単純な遊びをいつまでも繰り返しています。砂の小さな山の中に、ボタンや貝がらをかくし、手首大の石を砂に投げつけ、どちらがはやく砂の中からボタンや貝がらを見つけるかを競うのです。こんな素朴な遊びを眺めていると、なんだか、僕たちの子どもの頃、辺りが暗くなるまで、ビー玉やバイ遊びをしていた昔を思い出させてくれます。
 こちらで聞いたところによると、ポルトガルでの義務教育は四年、それも四割ほどの子どもたちは、その短い義務教育すら、受けているかいないかということらしいです。
こんな話を、家に帰るのも忘れたように夜の浜で遊んでいる子どもたちの姿に重ねて眺めていると、人生にとって、知識とか教養とかいうものは、人の幸せにどうかかわっているのかと、教育過熱の国の旅行者には、ふと考え込まされてくるというものです。

***

ポルトガルの浜辺の光景は 今でもそうなんでしょうかね。
浜辺と夕陽 こういうところに住んでるお年寄りは 日本でも 夕涼みに出たり おしゃべりしたりしているのかもしれませんね。
島根県の美保関で ずっとまえ そんなおばあちゃんたちを見かけたような気がします。いつまでも立ち話をしている 老人たち。 
わたしも 夕方に外で遊んだのは 田舎での話。縁側で足をぶらぶらさせたのも こどものとき。


《 2016.05.11 Wed  _  1ぺーじ 》