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マルガレットじいさん

スキャン1371.jpegkこの家の方のことを わたしは 「マルガレットじいさん」と勝手に呼ばせてもらっているます。
何年か前の話です。中劇とそのそばにリサイクルショップがあった頃。
私は大阪から引っ越してきて このリサイクルショップ 螺旋階段をあがったところにあったんですけど 一番好きなお店で 松本のいろんな話から 古着のブランド品の知識から教えてもらったんです。 夫が本屋さんに行っている間に だーっとはしっていって すみからすみまで覗いていましたね。そのお店の奥さんが 中劇の持ち主の奥さんだったんです。

その頃と並行してた頃の話です。ともだちと一緒にこの家に行ったんだけど 彼女はこの彫刻家のマルガレットじいさんのモデルをしたことがあるんです。その彫刻が図書館のところにあるというので見に行ったんです。その後でこのマルガレットじいさんを訪ねたんだったと思いますが さて もうだいぶ前のことなので。
この人の話は長かったんです。でもそこで松本の昔の話を聞かせてもらったんです。
リサイクルショップと中劇はつながってまして 戦前はここは近代人百貨店というのがあったそうです。いい名前でしょ。マルガレットじいさんのご両親もそして本人もその頃の時代の人です。ちょっとでも共通の話が出てくると うれしいもんですね。
近代人百貨店の話やそれがその後 中劇という映画館になった話。これはそこに来る前に中劇の隣のリサイクルショップで聞いていました。だからその時代を知ってるマルガレットじいさんの話は 面白かったというわけです。
大阪から出てきた私が はじめて長野県の松本市の戦前戦後の話を聞いて えらい物知りになったような気がしたものでした。いっぱい聞いてて みんなに話をしようと思ったら うまく話せないんですよ。へんな言い方だけど。 物知りじゃない私は まわりにも大騒ぎして そこらへんのところを話したんですけど うまく順を追って話すことさえできませんでしたね。 映画監督の今井正さんとその奥さんとのラブストーリーなんてもう もったいないなあ。佐藤文子さんという方がうまく書いてはります。何の話?
マルガッテじいさんのラブストリーは やっぱりうまく話せません。それにもう忘れかけています。歴史を亀のこうらのように背負っておじいさんやおばあさんはいるんですね。このたとえは変ですか? でもマルガットじいさんはその苦労が決して染み付いた感じじゃなかったですよ。
私より若々しい感じ。おじいさんにはかわりないですけどね。
その日は途中から雷。このマルガレットじいさんの話もえらい苦労話で大変でした。
だいたい私はすぐ疲れるんです。はじめてやってきた私にこんな物語が雷の音を聞きながらやって来るなんて。
私はあのマルガレットじいさんと病院でまた会いました。私は頭を下げたけど おぼえてはったかなあ。
私の家の庭先にマーガレットの花が咲くんです。 真っ白なマルガレットじいさんの髪がその花と重なるんです。 まん中は禿げている。

私はその後ちっとも出歩いていないませんね。 あの情熱はどこにいったんでしょうってくらい。
彫刻を見かけると うしろにまわって 名前を確かめる癖がつきましたよ。

《 2016.02.03 Wed  _  思い出 》