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なんて重いこと

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OOSUGAさんにいただいたガラスとどっかで買った鶴の箸置き 「くりすます」

1970年 20歳の日記

「上野公園に落選した作品をとりに行く」

 私は重い気持ちで 作品をとりに上野公園に出かけて行った。
空は青く 人は鳩にえさをやったり ベンチには恋人たちがいた。
顔をこわばらせて 人目を避けるようにして 私は歩いている。
勇気を出して 独立展と書いてある所に入る。
2枚の落選の券を持って。
圧倒される。大きい。大きな絵たち。
これが こういうところに出品する 普通の大きさなのか。
なんか はらがたってくる このところN子とけんかして 
そしてこの場所。泣きたいくらい。
わたしは正しいと言いたかった。
異論を申し立てたかった。
多くの落選した人に混じって作品を受け取り
もってきたふろしきに作品をつつむ。
誰にも見られたくない気持ち 小さな作品なのに
なんて重いこと。


聖ムラカミ記者(M)クリスマス近しというのに しょぼくれた話でんなあ
のりばっぱ(N) ファイルをあけると この写真と文よ
(M)きょうの出たとこ話でんなあ
(N) この時の絵はね 「ぜんちないぐの鼻」というタイトル
(M)あの あわだらけの鼻
(N) 名作やと思たんやけどなあ
(M)芥川龍之介さんの小説はね。「鼻」という小説でしたっけ?
(N) あのころ「蜘蛛の糸」とか あの方の小説は
(M)想像がふくらみますなあ
(N) わたしね あの頃 自分の鼻のこと 気にしてましてん
(M)鼻のあなを小さくして 鼻を高くしたい できるんですか そういうこと
(N) 10代のわたしは 本気
(M)ねこもびっくりぽんやわ
(N) だからあの絵が描けたのに
(M)絵が小さすぎたんちゃいますのん?
(N) 大きかったら 持ち運びに不便やし 額やって高いし
(M)理由が見つかってよかったですやん




《 2015.12.22 Tue  _  写真 》