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おたより

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ベランダ

うちのお父ちゃんは なんでもつくる人でした
ベランダもそのひとつ
ベランダの上には 屋根はなかった
それで お父ちゃんは コンクリートかセメントで
ベランダをつくった つまりぬれてもいいように
柵は トタンだったかなあ
まだまだ わら屋根の家があったころ
ベランダは 珍しかったと思う
その話が出た時 私はしゃれた ベランダを妄想した
それから そこで なにをしようかと 考えた
出来上がったのは 夏だった
実行したことが2つある
一つは夜 ベランダで寝転んで 星を見ること
もう一つは 昼間 ベランダに寝転んで サマーオイルで こんがりやくこと
どっちも すぐやめた
星を見てると蚊にかまれた 
だから 大きな子供用の かやで 星を見た
なんだか こわかった だから 急いで 家に入った
もうひとつは だいぶがまんしてたけど
あとで鏡を見ると へんな顔にやけていた
それから ベランダは 何か役に立ったかなあ
木の葉がおちていたり 蜘蛛の巣がはっていた


もう お父ちゃんもお母ちゃんも そのベランダも家もありません。でも不思議ですねえ
夢ではこのベランダを見たことがあります。自分の部屋だって。こうなると本当にあってもなくてもいいですよね。ねえお父ちゃん なんでベランダを作ってみようと思ったの?
私が「ベランダが欲しい」と言ったのかなあ。ちょっと無責任に言いそうだなあ。家族の要望にすぐこたえる人でしたからね。天窓も作ったもん。これはお母ちゃんが 家計簿つける時手元が暗いぐらいなこと言ったのかも。 おふろだって 暗いし なかなかわかないと言ったから あんなガウディ作のようなふろを作ったのかしら。横に水槽があって 残り湯は洗濯用に使える仕組み。あいかわらず肝心の熱効率は悪かったなあ。でも 私は反省しています。あの工夫のところを ゆっくり見てあげればよかった。感謝の言葉も忘れてた。いまごろになってだけど 肝心な所も大事だけど あの工夫の中にアートがあったんだね。これ何に使うの?そんなところにね。
届くかな 

《 2015.07.02 Thu  _  エッセー 》