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おたより
「父とわたし」
＊
とりわけ 父は 自分で
たなを 手作りした
このはなし どうやってつなげられるのかなあ
「たな」に物をおくのは 私や母だった
便利だったけど
なぜか 不便だった
父のつくるものは
そういうものだった
便利だけど 不便な物は
父とすごした家に
けっこうあふれていた
水の出てこない 蛇口
スムーズに開かない ペンキを塗った
戸
虫が入ってくる 網戸
やっぱり 奈落の底のみえる お便所
たなは ものをかざると ものより
「たな」が目立った
池のこいは 雨が降ると 容易に
逃げ出せた
みんな父の手作りの物
そんな父が好きになるのは
父が死んでから
＊＊＊
のりばっぱ（N) この写真 お父ちゃんがいい顔してるね
こいのぱくぱく（K）お父ちゃんおこおると こわかったよねえ
（N) なんで池のこいのパクパク君がわかるの？
（K）池から見てたんですよ
（N) 写真となると うまく笑いますよね
（K）なんせ卒業記念写真でいつもまん中で 笑うようにできてますから
（N) 校長先生は怒り顔じゃあだめだもんね
（K）でも かんしゃくもちだけど かわいかったよね
（N) よっぱらいで
（K）いっぱい思い出のこしてくれたよね
（N) 癖のある人だったからじゃない？
（K）反面教師の兄さんたち
（N) 私はお父ちゃんが死して
（K）私の中に生きてる 一人ぽろんと
（N) そういう思い出をかかえこんで
（K）生きてるわけね
おたより おまちしてます なんちゃって
《 2015.05.31 Sun _ エッセー 》