のりばあ(N) おなかすいてるかなあ
キツツキ君(K)すみませんお気遣いいただいて
(N) おたくじゃなくて、うちのものですよ
(K)ねこのムラカミ記者とか?
(N) 夫せいや若者や
(K)待ってるんですね
(N) まあ
(K)この絵のペラ本いきますか。
ぼくは たしか あのころ 大学生だった
帽子屋に たのまれて 帽子が カラスにぬすまれないように みはりを してた
帽子屋の おやじと いうのが けっこう 進歩的な 人だった
「帽子は だれのものか 人間だけが 帽子を 得意げに かぶってるが」
ぼくに コーヒーを すすめながら とうとうと しゃべってね
夜中まで ぼくを かえして くれなかった
ふくろーが ほーほーと なくまで かえして くれなかった
ぼくが はじめて 一個の 帽子を 売ったとき
ゆうやけが とっても きれいだった
まっかな フェルトの よく にあう まっしろな ぎんぎつねさん
はじめての おきゃくさん
帽子屋の おやじに どんなに ぎんぎつねさんが すてきだったのか
どんなに その赤いフェルトの 帽子が 似合ったか
長い 長い 時間を かけて しゃべった ものだった
(K)どうです?これはぼくのことなんです
(N) わかりますよ
(K)学生時代のアルバイト
(N) ほー
(K)ごはんは何にするんですか
(N) こまった