2022.09.02
DARUMA×atelier naruse 2022|その2、クンペルというニット帽
さてさて、お次はニット帽にまいりましょう。
セーター同様、ケーブル柄のセレクト&組み合わせにこだわった、存在感があるニット帽になりました。
ひきつづき、ダルマ糸の牧野さんと、ニット帽の魅力を語り合いたいとおもいますよ〜
使っている毛糸は、ケーブルセーターと同じ「チェビオットウール」。
毛糸の特徴については、セーターの記事やOnline Storeの商品ページに詳しく掲載しています。こちらから読んでくださっている方は、ぜひ読んでみてくださいね。
DARUMA×atelier naruse | チェビオットウール ~kumpel(クンペル)~ 手編みニット帽
size. F 頭周り56cm 高さ20cm
color. kinari / cacao
weight. 80g
material.ウール 100%(チェビオットウール)
牧野)「ニット帽には成瀬さんのハンドステッチが入ってないね。」
成瀬)「そうなんよね。こちらは、敢えてステッチなしにしました。理由は、そうだねえ。ステッチがあることで、野暮ったくなっちゃうから。ですかね。
セーターはオーソドックスなデザインに、かるさを加えたかったから、かたちに今っぽさを加えても、ハンドステッチをいれても、ケーブル編みの存在感がつよいかから負けないんだけど、ニット帽は面積がせまいということもあって、ステッチをいれると、逆に、なんだか軽さよりも、おもたくなるなあ。とおもったんよね。」
牧野)「なるほど〜。たしかに。」
成瀬)「シリーズなんだし、ニット帽にもステッチがあったほうがお揃い感が増すのだけど、なんというか、ハンドステッチがないほうが、たとえばきれいなお姉さんスタイルをしているママ友にも似合うと思うんだな。もちろん、アトリエナルセの服を好きといってくれる方も、ステッチがないほうが着こなしやすいんじゃないかなあ。と。シリーズにこだわるよりも、そっちのほうが大事だとおもって。」
というわけで、ニット帽にはハンドステッチがないのですね。
じゃあ、アトリエナルセらしさって、どこだったりするのでしょう。
わたしがリクエストしたことは、ニット帽ではひとつだけ。
角度!
牧野)「そう〜〜〜。それが実は、とてもたいへんなことなんだよ。」
成瀬)「そう。(笑)しらないってこわいね。編み職人さん、苦労されたんですよね。」
そうなんです。
今回のニット帽は、前後で角度がついているニット帽なんですよね。前後で長さ(高さ)がちがう。
牧野)「リブ編みとかで、前後で長さがちがうニット帽は既製品でもあるんだけど、ケーブル編みだとそれがとても、むずかしい。」
成瀬)「どういうふうにむずかしいのか、もしよければ教えてください。(笑)」
牧野)「ここ。ここの部分みてね。このリブとの段差のあるところ。横段がずれていくから、柄が途中できれてしまう部分と間延びしてしまう部分がでてくる。わかるかなあ?」
成瀬)「うんうん、ああ、なるほど。。だから、1stサンプルは、ちょっと柄の最後が伸びた感じであがってきてたのか。」
牧野)「そうなの。柄がきれいにおさまらなくてとても気になって。」
成瀬)「編み物をしないわたしからしたらさほど気になるところじゃなかったんだけど、編み物する人からしたら、なんだかしっくりこない、納得いかない。という部分なんだね。でもたしかに、修正された完成品をみると、ああ、なるほど、たしかにこっちのほうがきれいにおさまってるな。と思った。」
牧野)「“ひき返し編み” という手法をつかって、横の段の柄とすこしずつななめのラインを作っていくんだけど、柄が途中できれたような感じにみえない。という工夫をしているんだよ。」
まじまじとその部分をみつめながら話す、牧野さん。
ニットでななめにするというのは、セーターの時もそうだけど、ちょっと立ち止まって、どうしたらきれいな柄がでるのか。というのを考えないといけない作業が発生するのです。
ニット帽に関しては、そんなたったひとつのリクエストが、製図を割り出す上でかなり悩ませてしまいました。
では、なんでななめにしたのか?
それはですね、ななめにすると、かぶったときにすこーし大人っぽくなるからなんですね。
わかるかな。てっぺんが、後ろにかたむく。
成瀬)「ニット帽ってね、先っちょが上にいくでしょ。あれね、わたしちょっと苦手なんだよね。わたしはちょっと角度をつけてかぶるのが、落ち着く。」
お気に入りのものって、わずかな差異だったりするんだけど、その差異が使う頻度をあげるなあ。とおもいます。もしオリジナルのニット帽をつくるなら、わたしは角度がすこし後ろに下がったニット帽をつくりたかったのですね。でも、それが、そんなにたいへんなことだとは、つゆしらず・・。製図を割り出してくださった職人さん、ほんとうにありがとうございます。
そうそう。
ニット帽のなまえ。「kumpel(クンペル)」といいます。こちらは、ドイツ語。
「相棒」とか「パートナー」という意味なんですよね。
じつは、こちらもアトリエナルセ社長(夫でもある)早川が、考えてくれました。早川社長、なかなかいい名前つけてくれるね。
発音もかわいいし、「冬の相棒、ニット帽」という意味合いもとてもいいなあ。と思います。もうね、毎日かぶっちゃうくらいのニット帽になるとうれしいなあ。
ちょっと先になるけど、新作のこの赤いタートルネックセーターとも相性よし。
(11月に販売予定)
「デュフィ」と「クンペル」。
今年の冬も、ダルマ糸さんとのとってもすてきな手編みのニットアイテムを紹介することができて、ほんとうにうれしいです。
「—–ちょいと、冬へ。」。
これからすこしずつさむくなっていくあたらしい季節も、ワクワクできるように。
そんな願いを込めてはじまり、3年目となった2022年は、これまで説明してきた贅沢な手編みのセーターと、手で編んだ冬の相棒・ニット帽をつくりましたよ。
数ヶ月先の、北風がふくさむーい季節になったときに、過去からの贈りもののように、手編みのニットが届くのですよね。
もうね、注文したあとは注文したことを、忘れるくらいがいいですね。そのほうがたのしい。
さてさて、最後に。
おまけショットも掲載させてもらいます。
取材に行った日、マキノ邸ではあまい、いいにおいがしていました。
なんと「みたらし団子」にはまっている牧野さん。なぜに、いま、みたらし。
「みたらし団子、食べくらべしよう!」と言って、市販のみたらし団子2種類と、手作りでつくったみたらし団子を用意してくれていました。
飲み物が、炭酸水。というのも、おもしろい。
わたしは、ちょうどお昼を食べ損ねていたので、ぱくぱくたくさんいただきました。
できたての手作りのみたらし団子、とてもおいしかったなあ。
牧野)「あ、このみたらしは、上新粉が多いな。これは白玉粉の割合が多いのかな。」
と、みたらし団子オタクの牧野さん。
成瀬)「上新粉ってなんだっけ。」
牧野)「上新粉は、うるち米。白玉粉はもち米からできてる。上新粉をいっぱいいれる団子のほうが一般的で、白玉粉がはいるとちょっともちっとする感じなんよ。」
ちなみに、牧野さんお手製のみたらし団子は、上新粉と白玉粉を半々の割合でつくってくれて、ちょうどいいかたさとやわらかさでした。
「さいきん、みたらし団子ばっかり食べてる。」という牧野さん。
夕方、帰り際に、団子でおなかいっぱいになったわたしが「たかちゃん、今日晩ごはん何食べるん〜?」と聞くと、「え、みたらし団子やけど?」と当然のことのように答えていましたよ。
「ついでに、あやこちゃんが持ってきてくれたドーナツも食べよ〜と。」と言っていました。甘いものだらけやん。
(※プライベートでは、最近、たかちゃん&あやこちゃんと呼びあっています)
数日後、なにかの用事があって連絡したときに、
「今日の昼も、みたらしづくししてたら、さすがに食べてる途中に口内炎ができてきた・・。」といってました。
愛すべき、オタク精神の持ち主の牧野さん。
アトリエナルセオタクでもある牧野さんは、デザイナーのわたしよりも、アトリエナルセの服についてくわしく語ることができます。
そんな方と作ったケーブル柄の手編みのセーターとニット帽。
アトリエナルセらしさを、きっとわたし以上に考えてくれて、編み柄のセレクトや、かたちなんかもこだわってくれているのだと思います。
そんな人と一緒につくることができて、ほんとうにしあわせだなあ。と思っています。
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撮影/伊東俊介
モデル/麻絵
プライベート撮影/牧野&成瀬