アトリエナルセのGジャン。/ text.デザイナー成瀬文子 | atelier naruse

the an

ある日のハナシのシ

2021.09.18

アトリエナルセのGジャン。/ text.デザイナー成瀬文子

みなさん、Gジャンは持っていますか?
わたしは長らく、Gジャンを持っていませんでした。

Gジャンといえば、高校時代。
わたしの通っていた高校は私服通学だったのですが、裁縫上手な友達がGジャンを「手づくりしてあげようか」。そういうことがあって、20代までその友達がつくってくれた手づくりのGジャンを着ていました。すごく器用な子で、手づくり感はあまりなく、当時大好きだったブランドzuccaの雰囲気があるようなデニム生地でつくられたGジャンだったんですよね。
あのGジャン、どこへいってしまったんだんだろう・・・。お気に入りだったのに、いつのまにか似合わなくなり、いつのまにか着なくなってしまったまま、きっと、どこかに眠っているのだと思います。

30代はGジャンを着ることはなかったです。
ときどき、ちょっと欲しいかも。と思って古着屋さんやセレクトショップにいくのだけど、どうもわたしが欲しいデザインのGジャンがみつからないんですよね。
あ!これだこれだ。と思って試着してみるも、なんだか似合わない。いや、似合わなくもないんだけど、しっくりこない。
サイズ感にしても、Gジャン特有のあの硬すぎるデニム生地にしても、どうやって着たらいいのやら、という感じでしたねえ。

ならば、アトリエナルセでつくろうじゃないか!と、なんどか思ったことはありましたが、たくさんの名だたるデニムブランドがある中で、デニム専門ではない私たちのブランドがGジャンをつくるって「なんだか恐れ多いっす」という思いが、ずっとありました。

とはいえ、わたし自身デニムが好き、インディゴ染めってやっぱり好き、という理由で、気がつくとこれまでつくってきたデニムアイテムはいくつか定番アイテムになっていました。デニムのバルーンパンツやペックトップパンツに、サロペットパンツ。

一方、ここ数シーズン、アトリエナルセの服はノーカラーやバンドカラーの、上衿のないデザインを気に入ってデザインすることが増えているのですが、ふと、(Gジャンのあの衿がなかったらもっと着やすいんじゃないか?)と思い、こっそりだんなはんの持っていたGジャンの衿を中に折り込んで着てみたんですよね。

ほほう。

Gジャン、ノーカラーになると意外と着やすかったことが、発見でした。
かっこよさがちょっと消えて、ソフトな雰囲気がでてくる。あわせる服も、いろいろとイメージがわいてきて、(あれ、ノーカラーならわたしGジャン着れるかも)と、思ったのでした。
そうときたら、アトリエナルセでつくってみたくなりました。

ただ、「Gジャンといえばコレ!」というような、すでに完成したデザインがあるように思えたアイテムを、ノーカラーにする。これは、なかなか勇気がいりました。それって、完成したデザインを崩すことにしかならないんじゃないか。と思ったんですよね。
でも、そのGジャンがこれまでどうしてもしっくりこなかったのだから、どうしたらGジャンらしさを損なわず、なおかつわたしたちにもしっくりくるものになるのか、そんなところをイチから勉強をして、考えてみることにしました。

もちろん、Gジャンといっても色々なモデルがあります。
たとえば、いくつかあるモデルのなかで、わたしはフロントがタックになったデザインが好きなんですよね。でも、フラップ付きのポケットはいらないかな〜。わたしはポケットは少なくすっきりしたいぞ。
そんなふうに、 “歴史のある” 従来のモデルを参考に、足し算をしたり、引き算をしたりしながら、デザインを練り上げていきました。

もうすこしマニアックなところに踏み込むと、今回のアトリエナルセ初のGジャンでは、1900年代前半につくられていたヴィンテージデザイン、あんまり穏やかなネーミングではないのですけれど、大戦モデルといわれるモデルの特徴である「プリーツのボックスステッチ」と「シングルポケット」のディテールを採用しています。第一次大戦中、生地が足りなくて、ポケットを1つにしたり、バックスタイルもセンターで剥ぎになっていたりという、生地が不足しているその時代だからこそのデザインだったりもするんですね。

ただ、そんな大戦モデルも、そのまま採用すると、バックスタイルは、ちょっと個性がつよくなりすぎるデザインなのですよね。バックスタイルには3STスタイルの特徴でもある「ウエストバンド(裾)」の両脇のアジャスターベルトのデザインを採用しました。
うーん。しっくりきます。シンプルで着やすい感じがします。

それから、Gジャンならでは!の特徴である配色のステッチカラーも採用しませんでした。
通常インディゴの生地を使用する際、キャメルや生成などの配色カラーをつかうことが多かったりするのですが、今回は生地と同色の糸でステッチをいれることにしました。これはサンプルができるまでどんな感じで仕上がるか、ドキドキしました。
この配色のステッチカラーがなくなると、Gジャンらしさが消えてしまう気がして・・・
ところがどっこい、これがよかったですね〜。
Gジャンらしさは残しつつも、落ち着いた印象に仕上がりました。

ボタンホールの糸は、オリーブ色が入ったようなグレイカラーですね。ネオバーボタンは、くすんだようなシルバーです。リベットもついてます。

使用した生地は、今シーズン(2021-22 a/w)もつくった【コットンデニム W(ウエスト)ゴム バルーンバンツ】とセットアップでも着たかったので、同じ10オンスのデニム生地(※)を採用しました。
(ちなみに、バルーンパンツもステッチは生地と同色。おそろいです。工場さんもバルーンパンツと同じ岡山県にあるデニム工場でつくっていますよ。)

10オンスデニムは、かたすぎず、やわらかすぎず、といった厚みと着心地。Gジャンを試着したときに感じる、いわゆる “あのGジャンの硬さ” はなく、いつもの洋服とすぐに馴染んでくれる、レギュラーになってくれる感じ。の生地感です。
ワンウォッシュしているので、自然なシワ感と色落ちがあります。

※デニムのバルーンパンツは何度か生地を変えてつくっているので、初期の頃のバルーンパンツのデニム生地とはまた違う生地だったりもするのですが、ここ数シーズンの定番として使っているデニム生地とは同じものになります

肩幅やバストや袖巾のことや、ラインについても書きたいことはもっとあるんですけど、まあそんなふうに、これだ!これか?あれだ!これだ!と試行錯誤をしながら、atelier naruseのGジャンはできました。

サンプルが仕上がってきたときに、やってみたかった上下デニムスタイルのバルーンパンツとあわせて着てみました。
なんだろう「かっこいい!」という表現ではなくって、「そうそう、しっくりくる〜」という感じです。サルエルパンツにもあいそうだし、スカートももちろん、サロペットパンツにも、ワンピースにもあいそうだな〜!と、いろいろコーディネイトのイメージがわいてくる感じです。
そして、ちゃんと、Gジャン。ノーカラーだけど、これはまぎれもないGジャン!

やったー! ああ、いいのができた!

そうそう。サイズは、2サイズ展開。「38サイズ」と「40サイズ」です。

ここからは、どっちのサイズがいいかなあ。
というところを、写真をみながら考えてみようかと思いますよ。

【38サイズ】着丈(CB)54 / 肩巾47 /B112 / 袖丈52 / 袖巾43
【40サイズ】着丈(CB)58 / 肩巾48 /B116 / 袖丈53 / 袖巾44

まずは、身長159センチのモデルのsyoちゃん。
syoちゃんには、「38サイズ」を着てもらいました。
かわいい。

おそらく、身長が150〜155センチくらいの方は、「38サイズ」がおすすめです。
でも、身長が160センチ台の方でも、スカートスタイルが多かったり、あまりボリュームのあるパンツをはかないスタイルが多いという方は、バランスよく着れるのは「38サイズ」ではないかな。と、思います。

一方で、「38サイズはちいさいかなあ」と心配になる方がいらっしゃるかもしれませんけれど、そんなこともありません。おそらく一般的なレディースサイズのGジャンよりもすこしゆったりしています。肩巾は少しドロップしているし、バストや袖巾も比較的ゆったりしているサイズ感ですよ。

ちなみにこれ、わたしが着ている写真。(自宅で撮影)
わたしは身長158センチです。
まずは「38サイズ」。ちょうどいいですね。大きすぎず、小さすぎず。

「38サイズ」、横からみた感じです。

こちらは「38サイズ」の後ろ姿。

こちらは、「38サイズ」をワンピースにあわせて着たときのもの。
Gジャンらしい、丈感です。

せっかくなので、続いて「40サイズ」。
わかりますでしょうか。着丈がちょっと長くなりました。

「40サイズ」の横から。

こちらは「40サイズ」の後ろ姿。

どうでしょうか。結論から言えば、どちらのサイズも着れるし、どちらのサイズであっても、このGジャンのよさは消えずにちゃんとあります。(自画自賛)。
でも、ここまで写真だけでみると、もしかすると、身長158cmのわたしには「やっぱり38サイズがちょうどいいんじゃない?」と思うかもしれません。でも、実はわたしの好みは、「40サイズ」、なんですよねえ。

「要するに好みです!」と言ってしまうのはどうかと思うので、すこし書き加えると。
丈が短い「38サイズ」ほうが「うん、Gジャンのシルエット!」という安心する感じがするんですけど、すこしだけ丈が長い「40サイズ」、このすこし長い着丈がラインにどこか野暮ったさをだす。その野暮ったさがね、わたしは結構すきなんです。

ちなみに、仲良しのともだち、ダルマ糸の牧野さんも展示会のときに試着してくれたので、ご紹介(@マキノ許可、済み)。牧野さんも身長はたしか158センチくらい。

牧野さんもさいしょは「38サイズがちょうどいい」と着てくれました。
うんうん、ちょうどいい。

「38サイズ」、横から。うんうん、いい。
でも、「牧野さん、40サイズも着てみて」とおねがいしてみました。

「・・・ああ〜なるほど〜(by 牧野&わたし)」

正面からの40サイズの写真をどうも撮っていなかったみたいなんですが、こちらは横からみた「40サイズ」。インナーのボーダーがかくれていますよね。
あれ、どちらかといえば、こっちのほうがなんか牧野さんには、雰囲気あってない??

ということで。牧野さんもじっくり悩んでもらった結果、「40サイズ」をご注文くださいました。なんというか、やっぱり40サイズのほうが少しだけバランスはわるくなるんですけど、人によって、普段のコーディネイトによって、40サイズのほうがしっくりくる、ということはありそうです。

でも、バランス的なことからいうと「38サイズ」のほうが丈が短いから足長効果があるし、やっぱり長いスカートとのバランスなんかもとてもいいんですよね。

うーん、迷う。サイズのこと、きっと迷うところだと思いますが、いかがでしょうか。
参考になってますでしょうか。

取扱店さんのSNSでも、いろんなコーディネイトで着てくださっているので、そちらもぜひぜひ参考にしてみてくださいね。

さいごに。話を戻して、モデルさんの写真で話をエンディングに。
こちら、モデルの麻絵ちゃんは、身長165センチ。
この写真では「40サイズ」を着てもらいました。
(ちなみに冒頭の写真は「38サイズ」を着てもらってます)。
麻絵ちゃんはどちらのサイズもきれいにかっこよく着てくれてくれました。

「40サイズ」、後ろ姿。

モデルのゆきちゃんは、身長168センチ(169センチという噂もあり)。
麻絵ちゃんおなじく「40サイズ」を着てもらっています。
背の高いゆきちゃんは、「40サイズ」がカッコよかったです。
うでをまくるのも、いい感じです。

そうそう。ごわごわしすぎるデニムじゃないから、
こんなふうにコートのインナーにも着れます。
いろいろなコーディネイトができるので、たのしみです。

そんなわけで、アトリエナルセのGジャン。
今回も思いのほか、ながくなってしまった「もっと服のハナシ」。

秋がふかまってくると、つぎは、さむ〜い冬がきます。
さむいのはいやなはずなのに、あたらしい季節の入り口は毎年、ファッションのことをかんがえるのはたのしいんですよね。
あ、ちょっとさむくなってきたな。と思ったら、長袖の出番だ!とウキウキしてくる。
もっとさむくなってくると、あ、やっとアウターが着れる!
その次は、厚手のコートやジャケット!

いまははやく、このGジャンを着てみたいなあー。と、思っているところです。

アトリエナルセONLINESTORE

na-G001 | コットンデニム ノーカラージャケット | cotton denim no collar jacket
col. / indigo
size / 38size 、40size
material / 綿100%
price / 21,000yen(税抜)
※2022awより価格は24,000yen(税抜)になりました

photo / 伊東俊介
モデル / 麻絵 、syo、大島友稀
ヘアメイク / 原康博、神崎ひかり
小物スタイリング / DERMATOGRAPH

atelier naruse

成瀬文子

What’s ‘the an’ ?

the an(ジ・アン)は、bokura co.,ltd. | atelier naruse の公式オンラインストアです。

the(定冠詞)と an(不定冠詞)を組み合わせたショップネーム。
an は【atelier naruse = a(atelier)n(naruse)】でもあります。

ご注文いただきました商品は、
わたしたち atelier naruse のスタッフが
ひとつひとつ検品をし、梱包をしてお届けいたします。
到着まで、たのしみにお待ちいただけましたらさいわいです。

atelier naruse スタッフ一同より

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https://atelier-naruse.com