※こちらは、2012年12月7日(金)よりatelier
naruseのfacebookで毎週金曜日に投稿してきました『暮らしの"ピ"ント集【今週の、社長の金(曜日の)言(葉)】』の転載であり、わたしのお気に入りのチョッキ、あ、ベストです
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暮らしの"ピ"ント集【今週の、社長の金(曜日の)言(葉)】
(2014/10/10投稿分)
きょうは金曜日。夕方近くに保育園から息子に熱があるとの電話をもらいました。キリのよいところまで仕事を済ませ、急いで息子を迎えに行くと想像していたよりも元気そうで安心はしたものの、熱のせいなのか、車中でよくわからないことを言うのです。
子「とと、きょう、すいどうじいさんは?」
私「ん? 水道爺さん? そんな人おらんよ」
子「ある!」
私「あるて、"おる"、やろ? しかもそんな人見たことないやろ」
子「ある! おうちでみた!」
そんなやりとりを繰り返しながらも、「水道爺さん!」と繰り返す息子に、私はだんだんと得体のしれない恐怖を覚えはじめました。こどもには霊が見えるなんてこともいいますし、息子は妖怪ウォッチが流行る前からのお化け、妖怪オタクです。そうすると、我が家には以前から息子のいう"水道爺さん"なるモノノケがいて、そのモノノケをつうじて息子はお化け好きになったのやもしれない。
蛇口をひねるとニュルンと飛び出る水道爺さん。
マーライオンのように口から水を出し続ける水道爺さん。
爺さんなのにお肌に水分たっぷりの水道爺さん。プルプルっ♪
恐怖を消し去ろうと私はそんなさまざまな水道爺さんを想像しながら家路を急ぎました。一向に自分の意見を肯定してくれない私に苛立ちはじめた息子と一緒に。
私「ほ、ほら。おうちに着いたで。帰ったらまず手洗いしておいで」
子「うん。(スタスタスタ......ジャー)。......とと! ととっ!」
私「んっ!?」
子「すいどうじいさん!」
私「えっ!?」
私は洗面所におそるおそる近づきました。「ほらっ、これ!」。嗚呼、見たくない。でも、いけない。もし本当に水道爺さんがいるのなら、息子からすぐにでも除霊してあげなくてはいけない。熱が高いのも、きっとそのせいだ。妖怪のせいなのね。そうなのね。
私は思い切って息子のいる洗面所を見ました。水道の流れる音をバックに、そこにいるのは息子だけでした。そして、息子は洗面所に置いてあったおもちゃを空に向かってかかげているのでした。
――嗚呼、それか。それのことだったのか。たしかにきょうは金曜日だ。でもね、それは、残念ながらきょうは見れないんだ。会えないんだよ。今は10月の番組改編時期で特番が多い時期なんだ。ととも子どものころは嫌だったなあ。でも、来週はきっとドラえもんだってあるはずだし、妖怪ウォッチもあるぞ。金曜日はいいねぇ。また来週までたのしみにしておこうね。
あ、それはそうとね、それは"水道爺さん"じゃないよ。それは"クレヨンしんちゃん"だよ。むしろ幼児だよ。でもほら、もう一度言ってみてよ。今なら違って聞こえるはずだから。さあ、レッツ・セイ・水道爺さん。
「すいどうじいさーん!」。
......うん。クレヨンしんちゃん。そう聞こえなくもないね。じゃあ、とりあえずきょうは早く寝て、早く風邪を治そうぜっ。
ちなみに、息子は"しめじ"のことを"まつたけ"と言いますが、しばらく矯正はしないつもりです。:早川やぁ!次郎