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モームさん

スキャン4845.jpeg『月と六ペンス』

ときに 白い洋皿をすててしまったことを くやむことがあります。絵具の皿に使えたからです。
でも さがしてみると プラスチックの白い皿が 3枚のこっていました こっそりとっておいたからです。で
それが息子の絵具の皿になりました。自分は就職先を見つける人みたいに言ってますよね。ものをためすぎたので 自然と そういう役をしているわけなんです。
話は変わりますが
「これからは スカーフが活躍しそうな季節です。なぜかというと ここら辺は朝は寒く 昼間は5月のあたたかさというか 時には汗ばむときも。スカーフはどっちにしても えりもとで いい仕事をしてくれるんですよ。 どんな仕事かって? ちょっと小ぶりのスカーフが私は好きです。使ってみて下さい。あーあ スカーフをつくって売ろうとしたことがありました 幅10センチぐらいの幅で 長からず短からずのスカーフ」
めだたず それが商品になるのかと言われれば こうした宣伝文句がいりますね。かのカワバタエプロンさんのあの手縫いの腕なら 更に素敵ですが。なんでも 首を暖めるということは ヘルニアにまで効くそうですよ。息子に教えてやらなくちゃ。その箇所に手当をするのも大事ですが遠く離れたところに手当をすると案外つながっていて 効く場合があるそうなんですね。


エイブラハムに出会った。船はアレキサンドリアのドックに入った。そしてその甲板から彼は日の光の中に白く浮き出た町と、波止場の群衆を眺めた。みすぼらしい労働着を着た土人達、スーダン出身の黒人達、かしましいギリシャ人やイタリア人の群、トルコ帽をかぶった謹厳なトルコ人達、日の光、そして青空を見た。すると彼の中に何事か変化が起った。それが何であるか、彼自身言い現わすことができない。
青天の霹靂のようだった、と彼は言ったが、その表現では満足できないで、神のお告げのようだったと言い直した。何物かが彼の心をひねったようだった。するといきなり彼の心が高揚するのを覚えた。すばらしい開放感を覚えた。故郷に帰ったような感じだった。そして彼はその時その場で、一瞬のうちに心を決めた、これから一生このアレキサンドリアで暮らそうと。船から立ち去ることはさして困難なことではなかった。二十四時間後には、持ち物を全部持って上陸した。
(エイブラハム どこででてきたかなあ)(どうしてこういうことがおきるのかなあ 不思議)

「船長は君のことをとんだ気ちがい野郎だと思っただろうね」
「誰が何と思おうとかまやしなかった。行動をとったのはおれじゃない、おれより強力な何物かだ。おれはどこか小さなギリシャ人のホテルへ行こうと思って捜しまわった。するとどこへ行けばあるかわかるような気がするんだ。そしてどうだい、おれは真直ぐそこへ歩いて行った。そしてそれを見た時、おれはすぐこいつだとわかったのさ」
「その前にもアレキサンドリアにいったことがあったのかい?」
「ない。生れてから一度もイギリスを離れたことがなかった」
「一度も後悔したことはない?」
「一度も、ほんの一瞬間すら。暮らして行くにちょうど充分なだけ金はかせげるし、おれは満足している。死ぬまで現状のままで居たいということしか望まないね。今までの生活はすばらしかった。

(エイブラハムがどういう人物か 次に出てきますね)
アレック・カーマイケルと「私」とエイブラハムは医学生だったんですよね。エイブラハムは輝かしい将来を一番約束されていた男だったんです。「あの男は外科の天才だった。誰も彼には勝目がなかった」「彼がトマス病院の記録官に任命されたんで、僕はスタッフの一員になるチャンスを失ったわけだ。しがない開業医にでもなる他はなかっただろうね、開業医じゃうだつが上りっこないって、君だって知ってるだろう。ところがエイブラハムが落伍して、代りに僕がその職を得た。これがきっかけで僕の運が拓けたんだ」
「そうだろうな」
「全く運がよかったよ。エイブラハムはちょっと偏屈なところがあったんだろうな。可哀想にすっかり零落しちまって。アレキサンドリアで何かくだらん医者仕事をやっている、検疫官か何か、まあそういった仕事だ。醜い年とったギリシャ女と同棲して半ダースの腺病質な子供がいるって話だよ。結局、頭が良いだけじゃだめなんだな。大切なのは人格だよ。エイブラハムには人格ってもんがない」
人格だって?他の生き方に更に切実な重要性を見ぬいた時、半時間の熟考の末、出世の道を投げうつには、よほどの人格者でなければできんことだと、私は思う。しかもその出しぬけの行動を一度も後悔しないためには、更に立派な人格を要しはしないだろうか。
「だが勿体ないと思うな。あんなふうに一生を台なしにしちまうなんて、つまらんじゃないか」
果してエイブラハムは一生を台なしにしただろうか。自分が一番欲していることをなし、気に入った条件の下に心おだやかに、暮すことが、一生を台なしにすることだろうか?そして年に一万ポンドの収入があり、美人の妻を持つ著名な外科医になることが成功であろうか?それは各自が人生に対していかなる意義を感じているかによるだろうし、社会に対して如何なる権利を認めているかにもよるし、各自の要求いかんにもよるだろう。
(なるほど)


《 2021.05.28 Fri  _  読書の時間 》