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同じ日に
小さな 虫を ひねりつぶしたのです
その日に まど・みちおさんの詩に出会ったのです
ほんとうに やれやれ
ヵ
きた!
と思うことはたたくことで
きれいさっぱり忘れることだった
たたかれた相手がだれでどうなったかも
たたいた自分が何をしたのかも
このきまりだけをかたくまもって
いったい何百何十回
いや何百何十匹たたきころしたのか
あの小さな小さな虫を
この大きな大きな人間がその一生に
と じいちゃんはためいきついた
だからなのか なのになのか
その何百何十のなかの
ただの一匹の顔さえも
覚えていないんだよなあ....と
*
ただの一匹の顔さえも
覚えていないんだよなあ...と
まったくそのとおりで