話しましたかねえ テレビで見たあの話
長崎の見える所にある 海に囲まれた島 「軍艦島」のこと
そこには 8階建てのビルだとか5階建てのビルがあって
外には何段もある石段が
桜の花が春になると美しく咲き 屋上には家庭菜園の跡が
ビルの中には 潮風で錆のこんもりくっついた 冷蔵庫や電気釜
テレビがある お店だって 大きな共同風呂だって そろっていました
今では 潮風はどこからでも通り抜けられるのです
女の子の少女漫画が刷り込まれたかわいいふくろ
そこは海底に石炭の採掘場がある 重要な拠点だったんだそうです
そこは昭和45年を最後に 誰もいなくなった廃墟の島
ここで子ども時代を送った人たち 大正時代からだというから
人々はもうこの世にはいないのかもしれません
でもご先祖さまの話を 聞いた人たちは いるのかもしれませんね
廃墟というのは とうめいな ひざしのやさしい場所
場所争いもなく 忙しく行き交う者たちや車もなく
石段に腰をおろして ゆっくりできるのは
こういうところじゃないかなあ そんな風に思ったりする
自分の故郷じゃないのに かって遊んだ事があるような気がする場所
ここまでが 気楽な想像