こころ 先生と遺書 夏目漱石 つづき
もしその男が私の生活の行路を横切らなかったならば、おそらくこういう長いものをあなたに書き残す必要も起こらなかったでしょう。私はてもなく、魔の通る前に立って、その瞬間の影に一生を薄暗くされて気がつかずにいたのと同じことです。自白すると、私は自分でその男を家へ引っ張って来たのです。
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そのともだちはK といい(仮に)真宗の坊さんの次男坊でした。そして医者の所に養子にやられたのです。中学にいる時からの友だちです。東京でも机を並べた仲です。二人はまじめで 寺に生まれた彼は偉くなりたいという思いが強く(私もそうですが)常に精進という言葉を使うKのことを私は畏敬していました。
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やれやれ なんかが そこで おこるのでしょうね。
そこが 話の中心やん という人がおりまして やっと この本の「中心というところ」がきたのかと思わないでもないのですが