who am ?I

PAGE TOP

  • 07
  • 02

こころ 夏目漱石

スキャン4080.jpeg

こころ 先生と遺書 夏目漱石 つづき

ー素人下宿をたずねることになったのです
ご主人は戦争でなくなったとかで 未亡人とむすめさんと下女の家族でした
そんなところに 突然行ったところで 拒絶されるんじゃないかと思ったのですが
「私」は しかし 書生として そんなに見苦しい服装(なり)はしていませんでした
それから大学の制帽をかぶっていましたけれども その頃の大学生は今と違って、だいぶ世間に信用のあったものです


この「今」というのは大分まえのはなしですよね
私は戦後数年の生まれですが 私の兄は父に言われて 大学の帽子をかぶって 友達に会いに中学校まで行きました
そのとき私は兄といっしょに歩いて行ったのですが 兄はそのことが恥ずかしいらしく
妹の私に そう言いました 「ほんとうはいやなんだけどなあ」
まだまだそういうところが ありましたよ そして大学生であるという事は とても値うちのあることのようでした
この「こころ」の書かれた時代でさえ その前のときと その時には 差があったんですね いや 日本は長い間 そういう感じだったのかも知れないと 思いました

ーその部屋の床に活けられた花と、その横に立てかけられた琴を見ました
「私」は詩や書や煎茶をたしなむ父のそばで育ったので、唐めいた趣味を子供のうちからもっていました。そのためでもありましょうか、こういう艶かしい装飾をいつのまにか軽蔑する癖がついたのです 


《 2019.07.02 Tue  _  読書の時間 》