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こころ 夏目漱石

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まるで 天子さまの崩御は父親の おれもそうなるのだろうというところまで
ともに 移行しているよう 新聞を間に これほで死がつながっているとは
そうなのかもしれない
そして 祝日には金色の玉のついた日の丸の旗が 玄関先の縁側の前に
そうそうこれは私のうちだったな 門の扉の横から斜めに往来へさし出した
とある そういうことを自然に受け止めていたのだけれど 今私のうちでは
そういうことはしない

ー自分の机の置いてある所へ来て、新聞を読みながら、遠い東京のありさまを
想像した。私の想像は日本一の大きな都が、どんなに暗い中でどんなに動いているだろうかの画面に集められた。私はその黒いなりに動かなければしまつのつかなくなった都会の、不安でざわざわしているなかに、一点の燈火のごとくに先生の家を見た。私はその時
この燈火が音のしない渦の中に、しぜんとまき込まれている事にことに気がつかなかった。しばらくすれば、その灯もまたふっと消えてしまうべき運命を、目の前に控えているのだとはもとより気がつかなかったー

ここのところが 自分はなぜか こう持って来るのは早すぎるよ などと抵抗している
しかし その光景は 浮かんで来て やはり名作だった

《 2019.05.25 Sat  _  読書の時間 》