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こころ 夏目漱石

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先生に手紙をだしたいと「私」は思った
先生はどこかへ避暑にでも行っているかも知れない この手紙は 先生の元に届くだろうかなどといろいろ想像している 返事が返って来る事も期待している

父はたとえば将棋を差したがらなくなった
明治天皇のことを天子さまとよび 新聞で その病気の様子を見ている そして自分の症状と同じようだろうと思っている
「しかし大丈夫だろう。おれのようなくだらないものでも、まだこうしていられるくらいだから」
母はほんとうは父は怖がっている事を知っている 天子さまがどうにかなれば 自分もそうなるんじゃないかと
「まったく気のせいだよ」母が云う
「気じゃない、本当に体が悪いんじゃないでしょうか。どうも気分より健康のほうが悪くなってゆくらしい」

家族は こういうふうにしていろいろ病人の症状を想像します
というのも病気は気が弱くなりやすいですから 健康を気が引っ張っているように 老人を見ると 思ったり いやそうではなく健康ではなくなっていると思ったりします
 今度は 読者の自分たちも同じように頷く年齢になってしまって こうした家族の思いは 病人のこともふくめて よくわかります
天子さまと父が 新聞を通して その変化を自分のこととして見ているふうなのは これもその時代の風景ですね

《 2019.05.24 Fri  _  読書の時間 》