who am ?I

PAGE TOP

  • 04
  • 24

こころ 夏目漱石

「こころ」 夏目漱石 先生と私 つづき

33

 「君もいよいよ卒業したが、これから何をする気ですか」と先生が聞いた。先生は半分縁側の方へ席をずらして、敷居ぎわで背中を障子にもたせていた。
 私はただ卒業したという自覚があるだけで、これから何をしようという目的(あて)もなかった。返事にためらっている私を見た時、奥さんは「教師?」と聞いた。それにも答えずにいると、今度は、「じゃお役人?」とまた聞かれた。私も先生も笑い出した。
 「ほんとういうと、まだ何をする考えもないんです。じつは職業というものについて、まったく考えたことがないくらいなんですから。だいいちどれが善いか、どれが悪いか、自分がやってみないうえでないとわからないんだから、選択に困るわけだと思います」
 「それもそうね。けれどもあなたは畢竟(ひっきょう)財産があるからそんなのん気なことを言っていられるのよ。これが困る人でごらんなさい。なかなかあなたのようにおちついちゃいられないから」


畢竟財産 これはいったいどういう財産なんでしょうね
こんなことば今頃使うんですか?
知りあいの人はね 高校時代「こころ」を読んで ちょっとこれでどうだっていうんだい
みたいな気持ちになったんだそうです
考えてみれば 目新しい話は ないような気もしてきました
作家も芸術家も 人と違った事をやらなきゃ というところがありますよね
そうか そうではありますが 目指す人は そこに走りますが
逆に 自然な成り行きを書き よくあることを表現できるってこともあるんじゃないかと
私はうでをくみつつ 思考中です
「私」の話している事は だれにでもある話のようでしょ



《 2019.04.24 Wed  _  読書の時間 》