who am ?I

PAGE TOP

  • 03
  • 30

こころ 夏目漱石

「こころ」夏目漱石 先生と私 つづき

28

 先生の言うことは、ここで切れる様子もなかった。私はまたここで何か言おうとした。すると後の方で犬が急にほえだした。先生も私も驚いて後を振り返った。
 縁台の横から後部へかけて植えつけてある杉苗のそばに、熊笹が三坪ほど地を隠すように茂って生えていた。犬はその顔と背を熊笹の上に現わして、さかんにほえたてた。そこへ十ぐらいの子供がかけて来て犬をしかりつけた。子供は徽章(きしょう)のついた黒い帽子をかぶったまま先生の前へ回って礼をした。
 「おじさん、はいって来る時、家にだれもいなかったかい」と聞いた。
 「だれもいなかったよ」
 「姉さんやおっかさんが勝手の方にいたのに」
 「そうか、いたのかい」
 「ああ。おじさん、こんにちはって、断わってはいって来るとよかったのに」
 先生は苦笑した。懐中(ふところ)から蟇口(がまぐち)を出して、五銭の白銅を
子供の手に握らせた。
 「おっかさんにそう言っとくれ。少しここで休ましてくださいって」
 子供は悧巧そうな(りこう)芽に笑いをみなぎらして、うなずいて見せた。
 「今斥候長(せっこうちょう)になってるところなんだよ」
 子供はこう断わって、躑躅(つつじ)のあいだを下の方へかけおりて行った。犬も尻尾を高く巻いて子供のあとを追いかけた。しばらくすると同じくらいの年格好の子供が二、三人、これも斥候長のおりて行った方へかけて行った。


斥候長(せっこうちょう) これは軍隊かなんかの呼び名なんでしょうか
ここで子供が出て来る所が おかしくていいですね 犬がほえるのも
この章では 私が読めない漢字が出てきます これなら読めるのにというのに ふりがながあって それでも よめても違う読み方になっていたり
十 とう 三坪 みつぼ 懐中 ふところ この本には そういうのがよくあります
きっとそうよばなければ あじがないのでしょうね
 こんな漢字書けもしないし 読めないのに 前に出て来たのかなあ 躑躅(つつじ)
白川静さんの辞書 活用できてません せっかく買ったのに
夏目漱石の時代と 現代 読み方とか 言葉が変って来ているんでしょうか
《 2019.03.30 Sat  _  読書の時間 》