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こころ 夏目漱石

「こころ」夏目漱石 先生と私 つづき

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 「私には二つのものがまったく性格を異にしているように思われます」
 「いや同じです。私は男としてどうしてもあなたに満足を与えられない人間なのです。それから、ある特別の事情があって、なおさらあなたに満足を与えられないでいるのです。私はじっさいお気の毒に思っています。あなたが私からよそへ動いて行くのはしかたがない。私はむしろそれを希望しているのです。しかし...」
 私は変に悲しくなった。
 「私が先生を離れて行くようにお思いになればしかたがありませんが、私にそんな気の起こったことはまだありません」
 先生は私の言葉に耳を貸さなかった。
 「しかし気をつけないといけない。恋は罪悪なんだから。私の所では満足が得られない代りに危険もないが、ー君、黒い長い髪で縛られた時の心持ちを知っていますか」
 私は想像で知っていた。しかし事実としては知らなかった。いずれにしても先生のいう
罪悪という意味は朦朧としてよくわからなかった。そのうえ私は少し不愉快になった。
 「先生、罪悪という意味をもっとはっきり言って聞かしてください。それでなければこの問題をここで切り上げてください。私自身に罪悪という意味がはっきりわかるまで」
 「悪いことをした。私はあなたに真実(まこと)を話している気でいた。ところが実際は、あなたをじらしていたのだ。私は悪いことをした」


長いなあ 
恋は罪悪なのだから ここからが 長いんですよ 
ムンクの描いた あれはムンクのお姉さんの長い髪だったと思うんですが
そんなのを 思い浮かべながら 
《 2019.01.15 Tue  _  読書の時間 》