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こころ 夏目漱石

「こころ」夏目漱石 先生と私(ここを書くのを忘れていましたが)

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 二人が帰るとき歩きながらの沈黙が一丁も二丁もつづいた。そのあとで突然先生が口をききだした。
 「悪いことをした。おこって出たから妻はさぞ心配をしているだろう。考えると女はかあいそうなものですね。私の妻など私よりほかにまるで頼りにするものがないんだから」
 先生の言葉はちょっとそこでとぎれたが、べつに私の返事を期待する様子もなく、すぐその続きへ移っていった。
 「そういうと、夫のほうはいかにも心丈夫のようで少し滑稽だが。君、私は君の目にどう映りますかね。強い人に見えますか、弱い人に見えますか」
 「中ぐらいに見えます」と私は答えた。この答えは先生に取って少し案外らしかった。先生はまた口を閉じて、無言で歩きだした。
 先生の家へ帰るには私の下宿のついそばを通るのが順路であった。私はそこまで来て、曲がり角で分かれるのが先生にすまないような気がした。「ついでにお宅の前までお伴しましょうか」と言った。先生はたちまち手で私をさえぎった。
 「もうおそいから早く帰りたまえ。私も早く帰ってやるんだから、細君のために」
 先生が最後につけ加えた「細君のために」という言葉は妙にその時私の心を暖かにした。私はその言葉のために、帰ってから安心して寝ることができた。私はその後も長いあいだこの「細君のために」という言葉を忘れなかった。


いい絵は説明などいらない そんな言葉ありましたっけ?
この「先生と私」もそのまま 読んでみたいと思います。
てへっ どう書いていいのかわからないんです。
「もうおそいから早く帰りたまえ。私も早く帰ってやるんだから、細君のために」
 先生が最後につけ加えた「細君のために」という言葉は妙にその時私の心を暖かにした。

「そういうと、夫のほうはいかにも心丈夫のようで少し滑稽だが。私は君の目にどう映りますかね。強い人に見えますか、弱い人に見えますか」
「中ぐらいに見えます」

《 2019.01.06 Sun  _  読書の時間 》