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大きい荷物 吉行淳之介

大きい荷物 吉行淳之介 つづき

 目覚めてからでないと、その日の声の状態は分らない。そして、それには三つのケースがある。
一、あさから嗄れていて(しわがれていて)、波はあるにしても一日中それがつづく。
二、めったにないことだが、自分の声が就寝時までつづく。
三、起きたときには自分の声だが、ある時間が過ぎると少しずつ嗄れはじめる。やがて、声を出すのが困難になってくる。一定の大きさまでに脹らむ袋があって、眠っているあいだに声がそこにたまっていく。目覚めたときには、袋は限界まで膨らんでいる。その声を使用するので、すこしずつ袋が萎んでゆく。あとからの補給はないから、暗くなるころには嗄れてしまう。
 第一項目は困るにしても、あきらめがつく。第三項目の日には、困り方が複雑になる。たとえば、無線タクシーを呼んで、仕事に出かける。出先では、声を使わなくてはならない。このタクシー会社とは長いつき合いなので、話しかけてくる運転手が多い。
 行先の総合病院の名を言うと、
「どこが悪いんですか」
説明すると、声をたくさん使うことになる。
「うん、ちょっと」
 しかし、それだけでは無愛想かとおもい、
「この前、病院に行ったとき、タケノコを食べてアレルギーを起した女の人が、点滴を受けていたよ。顔がただれて真赤だった」
 じつは、私にも筍の食品アレルギーがある。食べると、たちまち喘息発作を起す。
「タケノコねえ、そんなことってあるんですか。パンダがそれだったら、生きてゆけませんね」
 意表をつかれた。
「そういう考え方もあるなあ。竹と笹とは兄弟みたいなもんだからな」

***

この「大きい荷物」は 気管支などが弱い人には 思い当たる話だと思いました。一、二、三の項目 これらは じぶんにも起こったことがあるから
よくわかるのです。それをなんとかするのは容易なことではなく なるべく人と話すことを減らして 嗄れ声になる時を伸ばさなくてはなりませんね。
タクシーでは 運ちゃんと長い話にならないようにする所など 笑いつつも
納得するのですが 相手の出方はどうなるか分りません。
でも こんなに共感してていいのかなあ。それにこんな話が書けるというのも 作者の吉行淳之介さんは こういう人だったんじゃないのかと。
共感小説 かってにつけてどーすんの のりぞー

《 2018.11.28 Wed  _  読書の時間 》