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一冊の写真集

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今日の朝 それは よくあるはなしなんですが
きのうの会話に 何かものを言ってみたくなったのです
あ そうそう それ それは じつはこういうことなんです

わたしは 自分の写真集(夫が編集制作してくれた たった一冊の
メチャクチャ分厚い)に
「無名的表現」というタイトルをつけているんです
夫がいまの忙しい仕事に入るまえに つくってくれたものです
たいへん労力のいる 写真集です
当時 夫はこの作品集が もうすごいものを作ってしまったという感じで
ある大きな出版社に 持って行ってみてもらうというと
いいだしたのです
わたしも 一応写真の作者ですから ついていくことになりました
その分厚さと言ったら 世界広しといえども どこにも ないんじゃないかと
そんなのを ね

どういう つてで 見てもらえたのか 夫はおぼえているでしょうけど
自分は おぼえていません 今度聞いてみようと思います
こたえは こうでした
こんな 分厚いの だれが出版してくれるちゅうんや 
そういうようなことをいわれて
夫はシュンとしていたと思います

そのご 夫はこの本を ことあるごとに「女房の・・・」ということからはじまって
家にきた人たちに みせるのです

わたしは このお客さん この本最後までいくかなあ 
そいうことを そのたびに思います

きのうのお客さんは その本を 熱心にさいごまでみてくれました
わたしは 隣の部屋で 疲れてソファーによこになっていたのですが
おい えらい熱心に見てくれてはるで
そう夫に呼び出されて 
この無名的表現というのもいいですね
と ほかにも いろんなことを いってくれましたよ

自分はとてもうれしかったのですが
このお客さんは なぜ この写真集に ひかれたんだろうと
考えました
彼は 仕事をがんばって かなりの高さまで 昇った人です
しかし そんなに高い所から 落ちてしまったと 言います
あるきっかけで 仕事が次々に減っていったのです
プロの写真家です 
どこの世界でもそうでしょうが 競争です 
自分は 無名であることに 徐々に馴れて行ったのですが
はじめからそうではありませんでした
それは そういうなかに入って行く努力をしなかったこととか
すぐあきらめたり 
でも 無名的表現は そんななかでも ちょっとしたプライドを
のこしてくれて いい言葉だと思います
そんなあまっちょろい事では生き残れねえんだよ
なんて言葉が 飛んで来そうですが
そこのところを ちゃっかりくぐりぬけて いま わたしは
ここにいます

朝起きたときは この無名的表現に甘んじているわけじゃないんです
なんてことを いうつもりでした
でも 数時間経って こういうことをいっています

この写真集をみてくれた お客さんは はげしいたたかいの中で
ちょっと この本で 一息ついたのかも知れません
それから もういちど てごたえのある仕事に いくのでしょう
それには うってこいの この写真集なのです
1ページ 1ページ めくっていく時間の中で 
なんちゃってね

あっ この写真は まるでかんけいないですね
こんど その分厚いの のせますね
うるとらちょう
《 2018.08.30 Thu  _  ちまたの芸術論 》