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その星では
「その星でのできごと」NEKO美術館発 ２０１７
その星は 大きな惑星が 数個に分かれたものでした
われわれと同じような いきものが います
市場には 干物などが かごに入れて 売られています
そのなかに 私の目をひくものが ありまして
それは ひとつ ￥と知らない国の 値段で売られています
これはいったいなに？ わたしがきくと 通訳の人が
「いろんな人の 人生の干物だよ」
わたしは
「ええ 人生は干物にすると たったこれだけ？」そういって
昆布の干物のようなものを つまみあげてみたのです
「太いのとか 重いのとか ないの？」わたしは それをひっくりかえしたりしながら
見るのでした
通訳の人が
「干物にすると だいたいこんなもんですねえ。おたくの国にはたしか
この手のものはありませんでしたよね」そう言ってうなずいています
「だって 王様だとか 大臣だとか 作家だとか 同じなの わたしと？」
わたしは 重さを量ったりなめてみたりするのでした。
《 2017.12.12 Tue _ エッセー 》