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マルガレットじいさん

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「やまやと漢字で書いて下さい」 NEKO美術館発

マルガットじいさんは彫刻家で
そこに おのちゃんとわたしが 訪ねた とき
マルガレットじいさんは かなりのお年だった

おのちゃんは マルガレットじいさんの モデルをしたことがある
おのちゃんは ヌードになって モデルをしたのかしら そう思っていたら
たしかワンピースを着た 少女の像だった

かみなりのなる 大雨の日だったんだけど
ながいながい マルガレットじいさんの これまでのことを
聞くはめになった

みずしらずのわたしたちに どうして そんな話をする気になったのだろう
それはそれは たとえば ここにある美しい奥さんの写真は
2度目の奥さんで 看護婦さんをしていた人だという

他人の人生を はじめて行ったわたしが聞くということは
ふしぎなことだった
それでも ながいながい マルガレットじいさんの みちのりは
その一つは 奥さんの話でもあり わたしの仲間の話のようでもあった

こちら側からの話ではなく 向こうからの話のように思えて来るのだった
その後マルガレットじいさんには 病院の待ち合いで見かけた
あのときも思ったけど いつのときからかこのおじいさんは
年を取るのを忘れているらしい感じがする

今頃わたしは 新聞を読まない
死亡欄もだから知らない あの松本の病院にも あまり行かない

あの日 ケーキを用意して 待っていてくれた マルガットじいさん

わたしのアトリエには 一冊のスケッチブックがある
彼の長い話の後 家で二冊の マルガットじいさんのことを 話にしてみた
へたくそな 本 写真入りだ。 まだフイルムでのカメラで わたしは
そのアトリエや 外観や いろんなところを とっていて
それが わたしの文といっしょに 入っている

赤いトタン屋根の マルガレットじいさんのアトリエ
川沿いにあって 白い洗濯物が あれはステテコだったのか シャツだったのか 




《 2017.10.08 Sun  _  思い出 》