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猫たちの隠された生活

「猫たちの隠された生活」エリザベス・M・トーマス

カラハリのライオン つづき

 またあるときは、ライオンたちがよそ者のようすを探りつつ、得体の知れない咆哮を繰り返した。そのできごとは、母とわたしがジュ・ワの人たち数人と、ガウチャから北へ80キロほど離れた山あいのカバンゴ族の牛の牧場、ショウ・アンナでキャンプした二日めの夜に起こった。谷の上とわたしたちのキャンプ近くに、ライオンの大群がやってきて、声をそろえて吼えはじめた。一頭が吼え終わるとほかのものが吼える、というぐあいで恐怖の響きはとだえることがなかった。ここでもまた地面が揺れ、テントがカタカタと鳴った。あまりの轟音に(とどろく音)に息はとまり、感覚は麻痺。わたしたちは金縛り状態になった。やがてその音は、はじまったときとおなじく、唐突にやんだ。そして長い沈黙。吠え声が聞こえるより、もっと怖い。ライオンたちはじっと耳をこらしていたにちがいない。自分たちの威嚇の効果をたしかめるために。
わたしは息をとめ、カチカチと歯の根のあわない音をライオンに聞かれないよう両顎を開いた。ライオンにはなにも聞こえなかったらしく、またもや吼えはじめた。
脅えきってはいたものの、わたしはライオンの姿が見えはしまいかと、ぶるぶるふるえる懐中電灯の光をまわした。しかし彼らはテントの後ろ側にいて見えなかった。かわりに、闇のむこうに、耳を聾する轟音のむこうに、一人のジュ・ワ族の姿があった。彼は咆哮がはじまったとき谷のむこう側にいた。武器はといえば小さな槍しか手にしていなかったが、彼は谷を渡って妻と子供のもとにもどってきたのだった。裸足でもの音ひとつたてずに、闇に中で吼えるライオンの群れのあいだを、文字どおり縫うようにして。

***

轟 こんな文字はじめてだと 辞書を引いてるうちに 「轟ゆきこ」という女優さんの名前を思い出した。彼女は母が毎月買っていた「主婦の友」でたしか見た女優さんだった。目の大きな美しい女性だった。このライオンの吼える声とならんででてきた「轟」という文字。そんな怖い名字にする必要はどこに などと考えつつ きょうの1ページを読んだ。 何頭ものライオンのいることを知りつつ ジュワ族の彼は よく無事に妻と子供のもとへ返って来れたものですね。 その原因のひとつに 「音をたてない」 ということが重要なんですね。でも彼の姿は見つからなかったの? そうだ 暗闇の中でしたね。 もしかしてライオンは咆哮するには えらい集中力が必要で 他のことには目がいかないのかも。 なんてこと とてもあんな怖いところには 生まれたくないと思うわたしですが。
《 2017.10.20 Fri  _  1ぺーじ 》