NEKO美術館 成瀬憲子

「けったいなアメリカ人」米谷ふみ子著　集英社

ミラー、メイラー会談傍聴記　つづき

　突然ミラーは私の方を見て言った。

「日本の女の人は世界中で一番洗練され、美しい。男が住みにくう醜うしようとしたこの世の中に、美と喜びのトーンを与える方法を知ってると思います」

　私を喜ばそうと思って言ったのか、前夫人を思い出して言ったのか判らないが、私は、彼の言っている日本の女と正反対なので、全く穴があれば入ってしまいたい気持ちであった。幸いテレヴィ用の照明を消した屋内は薄暗く、彼の眼は片目しか見えないときているので、ピカソが描いたような女の顔でも美人に見えるのかもしれない.....と自惚れてみたり。彼は焦点の合っていた過去に生きているのだろう。現在を判断すべき感覚機能が錆付いてしまっているのだから....。

　ディックがミラーに言った。

「この『天才と色欲』を、ニューヨークからロスアンジェルスへ来る飛行機の中で六時間かかって読みました。ロスアンジェルスに着いた時はとても性的興奮を覚えて困ったんですよ」

「あんたは性的興奮を感じるのに、そんなに時間がかかりましたんか！」

　とミラーはディックをからかった。

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この１ページは　もうそのままでいっていいですね。

ふみ子さんの書き方も　そうか　ふみ子さんがうまいんや。

アメリカ人は　たいがいのあいさつは　これですますらしいですから

この作品と　どう関係するかって？　「ゆー　のう」これも結構出てきますね