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みはりばん

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みはり役 NEKO美術館発

あさはやくから 大きな声でさわぐのは からすです
しかし からすは こんなところには 巣をしないと しだいにわかってきたのです
だれなのか 義父の のこしていった双眼鏡で 見上げてみるのですけど
双眼鏡というのは あんがい 上手くピントが合わないもんですね
とおく 他所の家のせんたくものまで はっきり見えますのに
すぐ上の巣は なんだかぼんやりしていて はっきりしないんです

へびのような灌木と目玉の妖怪のような洋皿 これの勤務時間は 午後5時まで
上のねこたちは ひとつは エマちゃんって子がつくった にらみをきかすには
もってこいの ぬいぐるみなんです

でも からすが しろ だとなると
この巣は 誰の家?
からす以外だったら がまんしょうと 思うんだけど

ところで チョウの話をこの前しましたよね
忘れないうちに 書きますね

アゲハチョウの幼虫の草食は サンショウなんだそうですね
少年の日に一時期 一生懸命 蝶を育てていた分子生物学者の
福岡伸一さんが 婦人の友に「わたしの・すきな・もの」で 
「サンショウ」という題で書かれています

さいしょはゴマ粒ほどの黒い塊だそうです
それが 卵から生まれたばかりの一齢幼虫 からだのなかほどに白い点があって
それは 鳥の糞みたいなんだそうです
これが身を守る方法らしいです
それを葉っぱごと持ち帰った福岡さんは その幼虫の世話をするわけです
幼虫はせっせと葉っぱを食べて 脱皮を繰り返し その都度大きくなって
最後は 緑色に目玉模様のついた 大きな幼虫になるんだそうですよ

その葉っぱというのが サンショウなんです
うちにも 山からとってきたサンショウの木が 大きくなりました
とげがみきにあるんです  カラタチにもいるそうですが やはりとげがありますよね
きっと さなぎを このとげのところに いとをからませてるんですね 
とげも いい 仕事してるんですね

そのサンショウを食べるのが半端じゃなくて 他所のサンショウまで 福岡さんは
とりにいって その家の人にしかられたそうです
こどもの福岡さんは その後 お母さんとその家に一緒に行ってもらって お願いして サンショウの葉を もらったそうです

やがて幼虫は動きをとめ(さすがよく見てますね)じっと縮こまる
気がつくと流線型の蛹(さなぎ)になっている
そこから約2週間 蛹の色が徐々に黄色くなる いよいよ羽化がはじまる
これほど劇的な変化(へんげ)もない
葉っぱの上をもそもそ這い回っていたイモムシが、軽やかで優雅な妖精に姿を変える
蛹から這い出し 伸びきった羽を細かく振るわせて飛翔の準備をする

この話を打っているうちに その神秘に打たれてしまった私は
このまえ 水草にとまっていた チョウのことも 思いました
 
どこから ここに寄り道してしまったのか

そうそう 「からすのみはりばん」の話でしたね
イモムシになったアゲハの幼虫は それは 緑色の「目玉模様のついた」イモムシで
とありましたね
つまり 本物じゃなくても 模様でも 鳥達はだまされるんですね
ということは 蛇に似た灌木 目玉模様の皿 見てるんだろうな
ついでに 眼力のある(これも模様です)ねこのぬいぐるみも 鳥達は
わかるのかもしれません

どうでしょう


 
《 2017.07.15 Sat  _  エッセー 》