「けったいなアメリカ人」 米谷ふみ子著 集英社
「ミラー、メイラー対談傍聴記」つづき
ミラー 「僕が小説を書き出したのはあんたと違て(ちごて)四十歳になってからでしたんや」
メイラー 「僕は恵まれていました。早くから世に出たから。でも大学の一年の時は、ミラーとヘミングェイの二人がすばらしい作品を書いていました」
ミラー 「ヘミングウェイは僕の友達ではなく、第一の敵でした」
メイラー 「でも僕は、特にこの二人に傾倒していたんですよ」
ミラー 「その気持ちはよお判ります。彼は余りにも常にスポーツマンであり過ぎました」
メイラー 「ヘミングウェイが?」
ミラー 「イエス、イエス」
メイラー 「貴方も若い時はとてもスポーツマンだったじゃないですか」
ミラー 「そういうこともありましたがな。けど、そういうことは喋りませんでした。あれは本を書き出すよりずっと以前のことやったから」
メイラー 「ヘンリー、ヘンリーとお呼びしてもいいでしょうか?ミスター・ミラー」
メイラー畏まって(かしこまって)座り直す。老人に叱られている小学生のようだ。
ミラー 「勿論。そう呼んで下さい」
メイラー 「ヘミングウェイはいつも、自分のことを自慢するスポーツマンに感心をしていた。前もって試合に勝てそうも亡いと言っておいて勝つ人間よりも、勝つぞと言って勝つ人間の方にいつも感心していたそうです。僕はヘミングウェイが自慢して回っているからと言って、彼を見くびったりはしません」
ミラー 「そうだすか」
ディック 「ミスター・ミラー、ノーマン・メイラーの本を初めてお読みになったのはいつごろですか?」
ミラー 「実はぁ、実はぁ....」
暫く沈黙
ミラー 「ほんまのことを言いますとな。今日に至るまで、ノーマンの本を読んだことないのですわ。ノーマン許して下さいよ。今になっては眼が悪うてもう読めまへん。まあ、ええ口実というこってすな。ははあー」
大声でミラー笑う
メイラー 「ちょうど今、どの本を推薦しようかと一生懸命に考えていたところだったんです」
笑いながら言い返す。
ミラー 「一つだけ読みたい本がありますねん。『裸者と死者』、あれがあんたの一番有名な本でっしゃろ」
***
メイラー 「ヘミングウェイはいつも、自分のことを自慢するスポーツマンに感心をしていた。前もって試合に勝てそうもないと言っておいて勝つ人間よりも、勝つぞと言って勝つ人間の方にいつも感心していたそうです。僕はヘミングウェイが自慢して回っているからと言って
、彼を見くびったりはしません」
ミラー 「そうだすか」
この会話 ヘミングウェイの考え方がよくわかるようで そして ミラーはそれにたいして「そうだすか」と。
これは おもしろいですが みなさんはどう おもわれますか?お聞きしてみたいもんです。こう言う感性は小説にも 現れるんじゃないでしょうか。
年取って 「もうあきまへんわ」といいながら おもしろいことをしゃべれる じいさんミラー。
よくでていますね。
メイラーの本を実は「読んでませんねん」と言っちまうミラー。
愛嬌がありますね。
*
さて ノリコ・リーの番でっせ。
いろんなもんが あいかわらず並んでまんなあ
えにっき これはな息子の一人が書いたもんです
読んでみますと お母さん(わたし)が救急車で運ばれた話も ありましたよ
いやあ みなさんは そういうことありますか?
字通 白川静 これはびっくりでっしゃろ
急に思い立って 買ったんです しかしミラーさんじゃないですが
読んでまへん 漢字が判らないことが こういう風に打ってましてもありますが
それを どうやって探し出して 発音したり意味を調べたり これが 辛抱が足りなくて
あきまへん
その他 ありますが 字通の上にめがねをおいたのは いかにもという漢字ですが(ちゃう感じ)老眼鏡では写せないので そこにおいたんですわ。