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草むらにて
おはなし 「草むらの虫」 昭和５３年 NEKO美術館発
ええと お話ししますね
この村の虫たちは
いつもひろいものをします
この村というより この村の草道っていうかな
そこにいる虫たちといったほうがあたっているかな
なぜなら この道は
小学校へ行くときの いちばんのちかみち
小学生たちはおやすみの日以外は毎日とおる道です
子どもたちはいつも 何かをもって学校へ行きます
ランドセルの中にも入っていますが ときには手で持ってね
そして その日によっては ともだちとおしゃべりに夢中だったり
おっちょこちょいだったり
そこで手に持っていたはずの けしごむをおとしてしまったり
こっそりもってきたみずでっぽうをおとしてしまったりします
きみは なにかおとしたことがあるかな？
草むらの虫たちは
「こんどはなにがおちてくるかな」
と 少し楽しみにしていますよ
でも 楽しみばかりではありませんよ
かたいものがおちてきましたら
こぶができますからね いたいですしね
そうそうこのあいだ まっかなミニカーが
そっと草むらにかくされました
太郎くんのとっても大事なミニカーなんだけど
いたずらっこに 「おれによこせ！」と
太郎くんはおっかけられました
太郎くんは 必死で逃げて ミニカーを
草むらにかくしました
「ぼく なんにももってないよ」とそれからいいました
すこしばかりいいあいはつづきましたが
そのときに 草むらの虫は 太郎くんのこと
「たいへんそうだな」とおもいました
そう思ったのがけむくじゃらのけむしでした
けむくらじゃの体をまるくして まるでけがわのように
ミニカーをくるんで かくしてあげました
太郎くんは あくる朝 あの草むらにそっと
手をいれてみました
なんだかへんな かんじです
そして草をかきわけて よーく見てみますと
それはミニカーをくるんでまるくなっている けむしでした
太郎くんは「ひゃー！」としりもちをつきました
けむしは ミニカーを体をのばして
はなしました
そして 草むらのむこうにくねくねはっていきました
「このあいだなんてちゅういんがむがおちてきてさ この大事な毛が
いっぱいぬけたんだよ」けむしは ちょっとくねくねしながら
おもいだしました
＊
このお話は 子どもたちが 小さい頃 作ったお話です
読んであげたかなぁ
こどもたちは 大好きな絵本やお話がありました
毎晩 それは結構長いお話なんだけど それをもってきていましたからね
こうしていま あらためて読み返してみて ちょっとわかりにくいところは
工夫して みなさんにお見せしますね
《 2017.05.11 Thu _ ペラ本 》