「ナマリの兵隊」ハンス・アンデルセン 文 光吉夏弥 訳 岩波書店
つづき
「あのひとが、およめさんになってくれたらなあ!」と、ナマリの兵隊はおもいました。「でも、あのひとは、たいへん、そだちがいいし、りっぱなお城に住んでいる。ところが、ぼくときたら、箱のなかで、おまけに、二十五人もいっしょに、くらしているんだ。とても、あのひとの、住める所じゃじゃない。でも、せめて、あのひとと、友だちになれたらなあ」
それから、ナマリの兵隊は、テーブルのうえの、かぎタバコの箱のうしろに、ごろりと、よこになりました。そこからは、かわいい踊り子が、よく見えました。そのひとは、うまく、ちょうしをとって、いつまでも、一本足で立っていました。
***
「あのひとが、およめさんになってくれたらなあ!」
ナマリの兵隊は おもったんですね
「でも二十五人もいっしょに住んでいるような所にこの育ちの好さそうな娘さんが
むりだなあ だけど せめて ともだちになりたいなあ」
いじらしい恋心ですね
でもあれですね もしわたしがこどもだったら この兵隊さんは どうしてかぎタバコのうしろに ごろりと よこになれたのかなあと不思議がるかもしれませんね
ごろりとよこになれたのかなあ