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ヴラマンクの自画像

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ヴラマンク ヴァイオリンのある自画像 

「ピカソとその周辺」フエルナンド・オリヴィエ著によりますと 「ヴラマンク拳闘の稽古をする」というページがあります。ドランとヴラマンクとブラックは、驚歎すべき、実に堂々たるトリオを結成していたとありますよ。彼らの容貌は道行く人々を振り返らせたと。三人とも大男で、肩幅も広く、まれにみる肉体的な力を感じさせるものがあったと。

つづけますね。
ヴラマンクはブラックより体重があり、いかにも彼らしかった。どっしりとして、金髪というより赤毛に近かった。かなり粗野で、頑固な口のきき方をし、承知の上で我を押し通すといった風だった。時には素朴に見えるが、大抵は驚いているように見える青い目をしていた。 彼はとても自信が強かったので、討論の末、彼の間違いが立証されたような時など、茫然としてしまうようなことがよくあった。昔自転車競争の選手だっただけに、彼はとても頑丈で、自分は生まれつき不死身だと信じ込んでいた。お金がなくて、夜分シャトゥーまで歩いて帰らねばならなかった時など、時々途中で売られた喧嘩から身を守り、いつもうまくそれを切り抜けられたのも、ひとえに彼の体力のお陰だと自分で言っていた。
相当規則立って拳闘を習っていたドランとブラックが、かわるがわる彼に大敗を喫させた日までは、かれは暴力に対する拳闘の効用や価値を否定していた。彼が鼻を馬鈴薯のように押しひしがれ、かなりみじめな格好で、それでもいかにも得心がいったような顔付をしてドランのアトリエから出て来るのに、私たちは出会ったことがある。

このヴラマンクの自画像は 「ピカソとその周辺」でのほんとうに小さなスケッチにくらべると 色もついていて 目を見張るものがあると思いました。これは河出書房から出ている「L'ART MODERNE」という 現代世界美術全集 第4巻で 昭和29年に出ています。その画集の中の「ヴラマンク」のところにのっていたものです。
ちょうどそれを見ているとき 「そうだ このヴラマンクは拳闘が好きな人だったよなぁ」と思い出したのです。 こういうときは とてもうれしいですね。
それも前よりはずいぶん大きな画面で その大きさだけでも 色がついているだけでも
ヴラマンクを「見直したぜ ヴラマンク」となるのは私だけでしょうか。
しかしオリヴィエ つまりピカソの妻だった女性が見たヴラマンクは この絵でとてもよく表されています。オリヴィエの人物を見る目はとても温かくユーモラスで よく想像することができます。ここのところを読んで ヴラマンクのことがとても好きになりました。みなさんはどうですか?
そして この自画像 どうです? この画集はヴラマンクからはじまります。
《 2017.03.05 Sun  _  エッセー 》