who am ?I

PAGE TOP

  • 01
  • 09

セザンヌの手紙

「セザンヌの手紙」 ジョン・リウォルド編

青年期(1861−1870)

 ところで、何度も云うようだが、今の僕は少々神経衰弱気味だ。とくに原因はない。
君にも覚えがあるように、どうしてこうなのか自分にもさっぱりわからない。夕方、日が沈んで、そのあとで雨でもしとしと降ってこようものなら、きまってこの病におちこむ。まったく暗澹たる気分になるよ。
 そのうち、君にソオセイジを送ってあげるつもりだ。しかしそのためには母に頼んで買ってきてもらわねばならない。なぜなら、僕が買いに行くのを見られると、粗食を忍んでいる同宿の者たちにひがまれるんだ。本当に厄介な話さ。
 この頃、ほとんど本を読まない。ときに君、「芸術のための芸術」とは人をたぶらかす浅はかな放言に過ぎない、ということが僕にはぼつぼつわかってきたよ。たとえ君の意見がどうであろうと、僕はしかと考えている。もっとも、これは内輪の話だ。
 
 追伸ーもう四日も前からこの手紙はポケットの中へ入れっぱなしだ。ここいらで諦めくくりをつけてポストへ入れよう。では、さよなら。
                      ポオル・セザンヌ

***

ポオル それは大変だ。よくわかるよ。
自分でソーセージを買いに行くと 粗食を忍んでいる同宿の者たちにひがまれるんだね。「ポウルの家はお金持ちだから 貧乏絵描きじゃなくて気楽なもんだ」私は そう受け取ってたんだけど それはそれで厄介なこともあったんだね。原因が分からないって君は言ってるけれども 絵のことでやなこと云われたりさ。
手紙を四日も前からポケットに入れっぱなしだなんて ああ わかるなぁ。

がんばって描くしかないよね。えっ それって 絵 上達するんじゃないの? 
で 絵をけなされると 絵なんてぇ ってほうりだすのが 私
ここで 道は別れるなぁ

「芸術のための芸術?」ええっと それは どんな芸術なのかしら?


《 2017.01.09 Mon  _  1ぺーじ 》