「ものがたりの余白」 エンデが最後に話したこと ミヒャエルエンデ 岩波書店2009年
素潜りする病室の隣人 つづきです
エンデ でも、これよりもっと困ったことがありましてね。
イタリアに、素潜りの競技があるのをご存知ですか?「イン・アプネア」という言葉までイタリア語にはあるんですね。スキューバ(アクアラング)なしで、どれだけ深く潜れるかを競う競技です。この隣人は84歳でしたが、「イン・アプネア」で寝るんです。
ーというと?
エンデ つまり、眠り込むまではずいぶんとさわがしくて、その後、急にしーんと静かになる.....、1分過ぎ、2分が過ぎ.....
(これは看護婦さんを呼んだほうがいいかな、揺り起こそうか、何かしなければ)
と、わたしは、すでに思っている。すると隣人は、ものすごい息を吐きながら、ふたたび水面に戻ってくるのです。それから、またさかんにさわがしくやり、さまざまな音を歯茎の間から出しながら、3分が過ぎ、4分過ぎる.....。それから、またしーんと静かになるのです。今度は4分くらい静寂が続く....。
わたしは、人間はこんなに長く息を止めていられないぞ、これは窒息したんじゃないか。あ、死んじゃったんだ....、などと気が気でない.....。
明け方の4時頃までは一睡もできませんでした。まだ生きているか、もう死んでしまったのか、ずっと耳をすましていなければならないのですから。
それを医師に話したら、できるだけ早く、1人部屋にしよう、ということになりました。
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NEKO美術館発を きょうもお見せしなくちゃ。いじくっているうちに消えてしまったので あわてました。あわてることにはなれていますので また最低限の失敗でとどめるように工夫を凝らしてですねえ。
でね この写真は 「波」です。
波をきりとってきて アトリエにおいていますよ。ざぶーん!
紙ねんど時代のものです。
できるかな