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薬のような本

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小島信夫 美濃 (これだけわたしは書いている) 絵はわたしです

『ルナールの日記』を読むと気が楽になるよ。
誰よりもルナール本人が、楽になろう、何とか楽になろうとひたすら思っていたことが
分るのである。
どんな修養書よりも、これを読むと心が洗われたようになり、美しくなる。
副作用のない自然の葉か根からとった、アクは強いがよく利く薬を刷毛にたっぷりしみ込ませて上から下まで内蔵を洗ったようなのである。ほんとにこの日記を読むと私はこの山の中にいても孤独でないし、おしゃべりの農家の妻たちや、無愛想で理屈っぽいその亭主たちや、言葉の少なすぎる聚落(しゅうらく)にある西洋風にグローサリーと言った方がよいような店の厚化粧をした女をほほえましく感じられる。

***

『ルナールの日記』この1ぺーじをどうして書き写したのでしょう。
きっとこの本を読むと「気が楽になるよ」と書いてあったからでしょうね。
小島信夫 この作家の特集が文芸春秋にあって長い間そばにおいてあって 
どこかにいってしまいました。その本があった場所に「松本清張の世界」という本が
あります。1992年臨時増刊号 文芸春秋です。いろんな人がこの作家の思い出を
かいています。(長い間置いていて 読まないと 本は不思議と消えるのです ほんま?)

さてルナールの日記は「ルナール本人が楽になろう、何とか楽になろうとひたすら思っていたことが分る」とあります。そのことが読む人を楽にさせるのですね。

「心が洗われたようになり、美しくなる」

「副作用のない自然の葉か根からとった、アクは強いがよく利く薬を刷毛にたっぷりしみこませて上から下まで内蔵をあらったようなのである」

「この日記を読むと私は山の中にいても孤独でないし」

その後の文章は わたしには意味がちょっとわかりにくいのでよしますが
『ルナールの日記』の広告の用で うっかり買ってしまいそうな文章でした

さいならさいなら
《 2016.05.30 Mon  _  1ぺーじ 》